ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年5月1日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:丸橋 広和(修士課程2回生)、竹内 光(修士課程 2回生)、広瀬 稔(修士課程 2回生)

実施場所:理学部3号館109号室

chapter11の、Eulerの公式を使って証明できる便利な補題を証明してもらった。これらは今後別のchapterでも使うことがあるので次への足がかりともなる。来週にはこの章が終わるので次の章を決めた。実習後には談話をしつつ、「二人で出来るゲーム」の必勝法に関する考察を皆でおこなった。

   

受講したELCASメンバーの感想文

  • 発表をした。準備不足だったのが悔しい。ELCASも残り3回なのでがんばる。
  • 今日の内容は今までの難しさに比べると分かりやすかったです。グラフは何も知らない人が見たら、ただの線と点に見えると思いますが、数学的な観点からみると非常に深い議論が出来るのだということを実感しました。次回は自分の番が来るはずです。「基底」についてあまり理解できていないので、何とか分かるようにして おきたいです。
  • だいたい分かった。これからも頑張りたい。
  • 今回は、オイラーの定理のPropsitionをやりました。背理法を使って解くなど少し難しい部分もありましたが、分かったのでよかったです。

物理   

常見 俊直(研究員) 

チューター:野沢 勇樹(修士課程1回生)、渡邉 大樹(学部4回生)

実施場所:理学部5号館511号室

今回は本実験で使う宇宙線検出器(プラスチックシンチレーター+PMT)を動かして、宇宙線を観測した。次にもう1つの検出器を用いて、2つの検出器の間隔によって、2つの検出器で得られる信号の時間差が変わるのを確認した。実験が終わった後は、シンチレーターとPMTの仕組みについて学んだ。

 
PMTで宇宙線を観測 PMTの信号をオシロで見ている
シンチとPMTの解説

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回はフォトマルの使い方を学びました。いつもと違ってスッと終わったので驚きです。後はシンチレーターとフォトマルの中身についてやったのですが、計算がなかったので残念でした。
  • 今日は、フォトマルの使い方が少しわかりました。実験がとても短かったので、次回が楽しみです。
  • 次の実験の準備をしたので、次回までに自分の作ったシンチレーターが固まることを願います。
  • ひさびさにシンチレーターを見ていやされました。
  • 今日はちょっと本番に使う実験をしました。どうして少し信号が遅れるのかわからなかったのですが、フォトマルのつかいかたもわかりましたが、思ってた以上に電圧をかけなければいけないんだなぁーへぇーと思いました。
  • 2000[V]を扱うということで、少しドキドキしました。オシロスコープに反応が出ると、すごくうれしかったです。自分の作ったシンチレーターで観測したくなりました。
  • ミューオン(?)らしき宇宙線の測定をした。2つのシンチで、ナノ秒レベルの反応する時間の差を観察したのだけどほんの数十センチ距離を広げるだけでその差がかわってくれた。宇宙線が見えた気がして気持ちよかった。
  • 今日は少ししか参加出きませんでしたが、宇宙線の観測に使う機械を使えて、これからの実験が楽しみになりました。

天文

柴田一成 (天文台 教授)  加藤精一(非常勤講師) 野上大作(助教)

チューター:西田圭佑(研究員)

ボランティア:西島豪宏(修士課程1回生) 川井大輔(学部2回生) 加藤本子(学部2回生)

実施場所:理学研究科4号館504号室

前回まで、簡単な常微分方程式をFortranを用いて解く方法を学んできた。今回はその応用として、3つの最終課題を提示し、取り組んでもらった。

(1)地球の衛星軌道上の人工的なゴミ(スペースデブリ)は人工衛星や国際宇宙ステーションにとって大きな脅威となっている。この課題では、地球周回軌道上のある一点から、ゴミを四方八方に飛び散らせたとき、どのように拡散していくかを考察する

(2) 探査機を木星引力圏でスイングバイさせることにより、太陽の南北極域を観測する軌道に投入するという計画案がある。木星スイングバイ成功に必要な条件とは何だろうか?

(3) 宇宙には奇妙な形状をした銀河が見られるが、これらは銀河同士の衝突により形成されたと考えられている。この課題では A. Toomre and J. Toomre (1972) と同様の方法で、制限三体問題として銀河衝突の計算を行う

課題を説明しているところ 課題を説明しているところ
実習中の風景

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • プログラミングはとても複雑だけど、とても面白いです。 早くプログラミングを完成させたい。 目が疲れた。
  • 今日はプログラムを書きました。 3つのきどうを同時に出すコトにちょうせんしました。 はじめのほうは意味がわからんくて、パニックやったけど 先生がおしえてくれたので完成させるコトができました。 今日はたのしくがんばるコトができました。 ありがとーございました。
  • 前のデータを少しずつ変えながら、 今度やるフライバイの準備をした。 いろいろ書いていたら、分からなくなってきて・・・。 来月で完成するのか心配。 でも最後までしっかりと取り組んでいきたい。
  • 1ヶ月ぶりにパソコンのシミュレーションにとまどいました。 もともと私は作業の進度はよっくなかったので、ついていけるか不安でした。 今回は講師の先生が1対1で教えて下さったので、思ったよりも理解しつつ進めることができました。 今度は自分で応用が導き出せるようにしたいです。 頑張ります。
  • 今日もずっと難しかったです。嫌がらず丁寧に説明して下さったので、うれしかったです。次は自力でできるかはわかりませんが、努力したいです。
  • やっと、やっていることの意味がわかってきた。

生物

森 哲 (動物行動学研究室 准教授)

チューター:稲森啓太(博士過程6回生)

実施場所:理学部2号館315号室 京大農場

始めに動物行動学という学問のおおまかな概要と、動物は種によって見える色彩波長領域が異なり、それに基づき行動を決定していることを学んだ。その後、北部キャンパス内の農場に移動して、各々が自由に、様々な色彩の動植物を採集した。講義室に戻り、視覚を用いた動物のコミュニケーション手段を調べる手法の一つである、スペクトロメーターによる色の測量を体験した。モンシロチョウやアマガエル、多様な色彩を持つ様々な植物の花びらなどを材料として、その表面の紫外線領域を含めた反射波長分布を測定し、動物と動物が利用する植物の色彩を客観的に評価する手法を学んだ。

動物行動学についての講義の様子 野外での動植物採集
スペクトロメーターを用いた色彩の測定

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 動物によって、色の認識が違うということで、モンシロチョウと雄と、雌は一見同じに見えても紫外線を吸収するかしないかという大きな違いがあるとわかってびっくりしました
  • 今回は、生物が本当は、どの様な色を見て、なぜ、その色を見るように(目が)なったのかについて、色々と教えてもらいました。スペクトロメーターを使って、光の波長を観察しました。その中で、モンシロチョウは形と人が見える可視光でオスとメスを見分けることは出来ないですが、実際は、紫外線の反射で見分けていることには改めて生命の不思議さに対して驚きました。なぜ、その方法でオスとメスを見分ける様になったかのについて疑問を持ちました。
  • 今日は採集が面白かったです。昆虫(チョウ)は、紫外線が見えることにより、オス、メスを見分けられるんだと分かって、すごいなあと思いました
  • 今日は採集して、紫外線を当てて、色をみました。虫は紫外線が見えるので、私達とは違う世界が見えるようです。うらやましいです。世の中には紫外線を反射しているものが多いそうで、人間はいちいち調べないといけないので、くやしいです。
  • 農場に行って、どの波長を反射するかを調べたいものをとってきて測りました。白いものでも紫外線を反射するのとしないのがあって、シロツメグサは紫外線を反射したので驚きました。モンシロチョウのオスは紫外線を反射しなくて、メスは反射するのですが、見た目での区別はできなかったのでおもしろいなと思いました。とても楽しかったです。ありがとうございました。
  • 動物が見える色って若干人間とずれていることから、色んなものの色を測定した。だけど思ったよりも紫外線を反射しているものが少なくて驚いた。
  • 最初、今日の体験学習コースでチョウを使うと聞いて少し驚きましたが、実験は楽しかったです。人の目で見える世界が全てではないんだなと改めて思いました。モンシロチョウがオスとメスで見え方が違うと知ってはいましたが、実際数値を見れて勉強になりました。
  • モンシロチョウのオスとメスでは予想していた以上の色の差があり驚きました。紫外線を反射するといわれただけではヒトは紫外線が見えないので実感がわきませんがスペクトロメーターを通すとはっきりした結果が見えるのでよく理解できました。動物によって見える色の範囲が異なるゆえ、見える世界も異なるのは不思議です。

化学

加納太一(有機合成化学研究室 講師)

チューター:坂本龍(修士課程2回生)中津大貴(修士課程2回生)

実施場所:理学研究科化学専攻 有機合成化学研究室

基礎的な有機触媒についての説明をした後、実際に有機触媒を用いた不斉アルドール反応を行った。触媒としてプロリンだけでなく、ピロリジンや酢酸などを組み合わせて、実際に反応性や選択性に影響を及ぼす官能基の比較実験を行うため、数種類の触媒を用いて反応を行った。また、プロリンとの比較のため、当研究室で開発された有機触媒も使用して同じ反応を行った

有機触媒、不斉アルドール反応についての講義 実験の説明
不斉アルドール反応の実習  

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • アセトンとアルデヒドに有機触媒を足して反応を起こしました。加える触媒によって不斉の作り分けができるようでした。作業は加えるものをはかって入れるという単純なもので楽でしたが、反応の仕組みはほぼわかりませんでした。
  • 最初の実験の説明は少し難しかったけれど、少し分かったのでよかった。実験自体はそんなに複雑じゃなくてとてもやりやすかった。
  • アセトンとアルデヒドをはかりとって混ぜた。今までにないくらいやることが少なかった。
  • 今回は有機触媒の反応の講義と実験でした。理論的な話はあまりよく分からなかったけど、金属を用いた触媒反応との違いや利点などを教えて頂けて、とても面白かったです。実験では、チューターの方々に丁寧に教えて頂けて、楽しかったです。固体のアルデヒドを見られたり、普段では見られない薬品などもあって、とても興味深かったです。有機化学はまだまだ知らないことばかりなので、また勉強してみようと思いました。
  • この前の研究室より大分楽でした。不斉合成には前々から興味があって、大学では不斉合成の分野に入ろうと思っているほどで、とても楽しかったです。
  • 今日は有機化合物の構造を決定するのに触媒の種類を変えることが利用できるという実験をやった。触媒といえば反応を速くするものというイメージしかなかったが構造決定にも利用することができると知ってとても面白かった。GWなのにたくさん実験している方がいて、大変だなと思った。