ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2010年2月20日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

チューター:竹内 光(修士課程 1回生)広瀬 稔(修士課程 1回生)

実施場所:理学研究科5号館501号

今回はTop-in-at-random shufflesについてのセクションを読んだ。トランプの束があったときに、その一番先頭のカードの位置だけをランダムに変えるというシャッフルだ。「これを繰り返したとき、カードの配置がバラバラになるのは何回か?」という問題をこれから考えていくのだが、その前に、「カードがバラバラになる」とはどういうことなのかを、確率分布間の距離を定義することによって説明してもらった。 その後に、前回やり残していた箇所を説明してもらった。(1-1/n)^n<1/eを示すところが、微分のいい練習問題になったと思う。


受講したELCASメンバーの感想文

  • 知らないことが多すぎて分からなかった。あきらめず頑張ろうと思った。
  • 確率の式変換がとても難しかったです。そこに微分も混ぜて考えると、今までになく難しかったのですが、答えが分かるととてもすっきりしてよかったです。
  • y=(1-1/x)^x (x≧1)が単調増加であることを示すのに時間をかけすぎてしまった。でも、「解けそうで解けない」という数学の面白さは感じられたと思う。これからも様々な問題にチャレンジしていきたい。
  • 今日の内容はあまり理解できなかった。
  • 難しかったが、(1-1/n)^n<1/eが証明できてよかった。
  • 最初の人数の少なさにおどろいた。後、俺の純粋改良版みたいな人がいた。・・・正直、とてつもなくおどろいた。

物理   

米澤 進吾(助教) 

チューター:江口 学(修士2回生)、家 哲也(修士1回生)、野沢 勇樹(学部4回生)、渡邉 大樹(学部3回生)

実施場所:理学部5号館511号室

前回まで、Fermi粒子の低温での振る舞いについて勉強してきたが、今回はFermi粒子と全く異なる振る舞いをする Bose粒子について学んだ。またBose粒子の低温での振る舞い(Bose-Einstein-Condensation)を学び、実はFermi粒子でもそのような現象が起りうることを学んだ。 後半は磁化率を測るために非反転増幅回路などの装置を自作した。

 
講義の様子
はんだづけの様子

 

 

受講したELCASメンバーの感想文

  • 電子工作は、時がたつにつれてミスを連発して心がくじけました。チューターさんたちにかなり助けていただいてちょっとは完成に近づいたので、次回頑張りたいです。
  • BECについて習ったが、あまりにも自明なことだった。あと100年早く私が生まれていたら私の名前が付いていたことだろう。その名というのはもちろん「キョロ」である。
  • 今日は講義でBose粒子のまとめで、超伝導のメカニズムなどを学びました。おもに工作のほうが疲れましたが、実験ができなかったので次回はその実験で磁束の変化とかを体験したいと思いました。
  • 私はKEC(キョロアインシュタイン凝縮)案には反対です。
  • 今日のはんだ付けはとても難しかった。キットじゃなく裏で配線するのが特に複雑だった。
  • 今日は非反転増幅回路を作りました。たくさんのはんだ付けをしたので疲れましたが面白かったです。なかなか見れなかった波を最後に見られてうれしかったです。また詳しく原理の説明をしてもらうので楽しみです。
  • 工作ではオペアンプを使った入力信号の増幅回路と、帯磁率を測定するためのコイルを作りましたが、まだ実験をしていないので、次が楽しみです。
  • 回路作りが予想以上に苦戦したのに、LEDが光らなかったときはショックを受けた。とにかく、何とか完成してちゃんとした波形を見れた時はほっとした。
  • BECが起こると、物質の波動性があらわれてきて量子力学で説明される現象がみられるという、非常に興味深いお話がありました。量子力学は配られた本気の冊子を読んでみたりしているのですが、非常にややこしい分野で苦戦しています。あと、BCS理論という超伝導を説明する理論を習いましたが、これが本当に難しかったです。

天文

岩室史英(准教授)

チューター:森谷友由希(博士1回生)

実施場所:理学研究科1号館531号室

レーザーポインタと光学器具(対物レンズ、平凸レンズ、絞り、平面鏡)を用いて光学実験を行った。 実験の内容は、
1.平行光を作り、平凸レンズの焦点距離を測る
2.レンズに関するニュートンの公式を確認する
3.絞りを用いて回折像を作り、絞りの大きさによる回折リングの変化を見る
4.複スリットを作成し、干渉像を見る
の4つである。  実験の後時間が余ったので、岩室准教授が講義を行った(内容については、宇宙物理学教室が学部共通科目で行っているリレー講義から抜粋)。

レンズの焦点距離を測っている様子 実験について説明を受けている様子
複スリットを作っている様子。

 

受講したELCASメンバーの感想文

  •  今日は体験実験の回ということで、光の回折などの実験を行いました。  カッターでスリットを切り込み、うまくシマ模様ができた時はやはりうれしかったです。  なかなか難しめの座学も多かったのですが、授業の基本分野でもあったので、理解しなおすこともできました。  次回はテスト期間で来られませんが、今回学んだことを忘れずに頭に入れて次に来られるときに備えようと思います。
  • 回折格子についての話は、学校の授業で習ったことがあるのだけれど、実際に実験して確かめられるとは思っていなかったので、自分で作ったスリットを使ってうまく干渉じまが見れた時は感動した。学校ではやらないような実験をいつもさせてもらっているので、より天文学について、親しみが湧いたような気がする。
  •    
  • ちいさい頃、どうして懐中電灯の先を手でかくすと出てくる光の周りに変なしまがたくさん出てくるのか不思議でした。
     思いもかけず今日回折の話を伺ってその謎が少しわかったように感じます。光の周囲に干渉じまがたくさん出てきたのがまるで宝石のようで非常にきれいでした。あの波の形を劇とかに利用できそうだなと思いました。
     地球から空を見上げるのはプールの中から水面を見上げるのと同じようなものと伺い、とてもロマンチックなものを感じました。光や空気、水のゆらぎって何だかきれいだなーと思います。
     望遠鏡の補正はそのゆらぎをなくすことではっきりした像をつくれるのだと知ってすごく納得できました。望遠鏡は宇宙からの光を受け止める“目”なのだなーと思います。
     実験道具を扱うのは難しくてけがもしてしまいましたが、面白かったです。物理の話が天文で出てくるのは当初意外でしたが今はうなずけます。  内容は時々ややこしいなあと思いますが理解できるよう努力したいです。
  •  光学実験はとても楽しかった。
     自分でスリットとかを紙を切って作った。
     三角形に切ってみると、それぞれの辺の外側に少しカーブのかかった線が見られた。
     四角形に切ってみると、丸のようなものが四角形の周りに見ることができた。  像点距離を求める式が少しだけ難しかったけど、今日は全体的に楽しみながらできたと思う。

生物

阿形清和(教授)、船山典子(准教授)、井上武(助教)

チューター:有馬和志(修士1回生)、石河泰祐(修士1回生)

実施場所:理学部1号館101号室

「科学者になるには」および「プラナリアについて」の講義を行う。  実体顕微鏡を用いてプラナリアを観察し、氷上での切断を行う。  各再生課程のプラナリアを比較、観察することで、その再生過程を学ぶ。  幹細胞や神経、咽頭を染色したプラナリアを観察する。  再生個体および特定の遺伝子をRNA干渉法によりノックダウンした個体を用いて、負の走行性・走化性等についての行動実験を行う。

 
阿形教授による講義
氷上に置いたプラナリアの切断
プラナリアの行動実験

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 阿形先生のプレゼンが面白くて楽しく分かりやすかった。  プラナリアの中心付近は幹細胞があんまりなかった。  プラナリアは光には逃げても、餌を与えてみると寄ってくるのが興味深かった。  RNA干渉法によって、プラナリアの仕組みの構造が明らかになっていくので、すごい技術だなと思った。
  • 最近テレビや生物科学会で有名なプラナリア。今日はそんなプラナリアを主とした実験や説明を受けました。  特に実験では、わざわざ多くのサンプルを用意していただき、とても分かりやすく、感覚的に実験することができて、とても良い体験だったと思います。一層、生命の不思議を実感できた1日でした。  今日は、準備からいろいろと関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました。
  • プラナリアは最初はあんまり可愛くないと思ってたけど、途中から目が可愛いなと思いました。  光に反応する負の走行性は知らなかったので、とても面白かったです。  正の走化成は、GFPiとSytiでしかしなかったので、反応が鈍かったですが、こっちも面白かったです。
  • 今日の実験はどれもとても面白いものでした。  まず、初めてプラナリアを見たときの大きさに驚きました。まさかこんなに小さいとは思わなかったです。顕微鏡で見ながら切るのが難しかったです。  再生過程は、神経細胞や幹細胞など、細胞ごとに見るほうが、実際の過程をみるよりも分かりやすく面白かったです。  RNA干渉法は、手探りでエサを探す胴部のプラナリアが、見ていて本当に見えてないのかと、少しかわいそうでした。  ありがとうございました。
  •  初めて間近でプラナリアを見て、まず小さいことが驚きでした。もう少し大きいと思っていたので、実態顕微鏡をのぞきながらプラナリアをメスで切るのは苦労しました。  エサを食べるプラナリアは衝撃的でした。咽頭が伸びてきてお腹から食べるというのは不思議な感じでした。  神経や幹細胞を染色したプラナリアを高倍率で見たとき、初めのほうはじっと見ることができませんでした。  あらゆる部分を再生できるプラナリアに、神秘的なものを感じました。  ありがとうございました。
  •  プラナリアの観察をした。体中に幹細胞があるから切っても切っても死なないのは分かったが、食べるところまでちゃんと復元されるのには驚いた。あと、切る部分によって復元される順も違うことも面白いと思った。
  • 高校の生物の授業で初めてプラナリアを見たときから、一度でいいから実物を見たいと思っていました。そして、今日の体験学習講座で見て、実物が意外に大きかったのにびっくりしました。  プラナリアを切断するのは少し難しいと思いましたが、再生されていく過程を見るのは楽しかったです。  エサや光による実験もいろいろな結果が出て、不思議だなあと思いました。
  • はじめの①観察②仮定③実験のお話が印象的でした。仮定をしっかり行って実験することをもっと心がけたいです。  プラナリアの光と餌の実験では、光よりも餌を優先することが分かり、動物は嫌なものよりも好きなものの方を選ぶ傾向があるのか?と思いました。興味深いです。  最後の最後に、咽頭を伸ばして餌を食べている瞬間を自分の顕微鏡で見ることができ良かったです。  それにしても、切っても切っても再生するプラナリアはすごいです。

化学

中西和樹(准教授)、金森主祥(助教)

チューター:宮坂晶(M1)、前田幸太朗(M1)
ボランティア:倉橋 昌幸(B4)

実施場所:理学部2号館518号室

前半の2時間で「ゾル-ゲル法による非晶質SiO2の作製」というタイトルの実験を行いました。後半の2時間で「融液冷却法による非晶質酸化物の作製」というタイトルの実験を行いました。その後、これらの実験の質疑応答を行いました。

金森先生による実験説明 重量測定
ゲル化したサンプル
乳鉢内の混合
溶融したガラス

       

受講したELCASメンバーの感想文

  • 2種類の方法でガラスを作った。溶融して作製したガラスはとても綺麗だった。高温で乾燥させながら作製したガラスは表面張力の影響で粉々になってしまっていた。またピペットマンという器具を初めて使った。
  • ガラスの作り方は教科書に載っている方法だけかと思っていましたが、様々な方法があることを知って驚きました。また、ガラスに色をつける時にCoを入れていましたが、他の金属を入れるとどうなるかもやってみたいです。今回の体験学習は実験が多くて面白かったです。
  • 入れている材料は同じなのに、その量の比によって出来上がったシリカゲルの状態が違ってて、粉々になったり、固かったり、その間ぐらいだったり面白かったです。炭酸ナトリウムと酸化ホウ素の粉から、1000℃に熱すると、オレンジっぽい液体のガラスが出来ました。1000℃の電子炉はとても熱かったです。最初に作ったガラスは、せっかく綺麗な円形で薄紫色のガラスが出来たのに、冷えるときに圧力がかかって、10個くらいに割れてしまって残念でした。
  • 今日は実際にガラスを作製しました。攪拌した溶液にアンモニア水を加えていると、突然ゲル化して固まったことがとても印象深かったです。1000℃の炉は、とても熱気が伝わってきて、オレンジ色に輝いていたこともあり、すごく感動しました。ガラスはすぐに割れてしまったけど、とても綺麗でした。
  • 今回は、前回の講義を踏まえて、2つの実験を行いました。1つ目は、「ゾル-ゲル法による非晶質SiO2の作製」です。溶液を3つ作って、経過を見比べてみると、シリカゲルの出来る速さなどがそれぞれ異なっていて面白かったです。2つ目は、「融液冷却法による非晶質酸化物の作製」です。これは、Na2OとB2O3の量が異なる2種類のガラスを作りました。それぞれのガラスは、色も結晶の形も違っていて、前回の講義の内容と結びつけることが出来ました。今日は、実験づくしだったのですごく楽しくて、また初めて使う実験器具がたくさんあったのでとてもいい体験が出来ました。
  • 今回の身近な「ガラス」についての体験でした。前回の講義に参加出来ていない分、初めてのことで戸惑うことも多かったけれど、1つ目の実験では、水の多さによって加水分解の速度が変わったり、酸性条件下と塩基性条件下でゲル化する速さが違ったりすることはとても面白いと思いました。また実際に2つの実験でガラスを作ってみて、Na2OとB2O3の割合の違いで、出来るガラスの色が違ったり結晶の有無があったりと、普段私たちの身近なガラスも、とても奥が深いものなのだと感じました。