ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

ELCAS・最先端科学の体験型学習講座(京都大学理学部)未来の科学者養成講座

体験アーカイブ・2009年3月21日

体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。

数学

森脇淳 教授
チューター:木村嘉之(博士課程 2回生),長尾有晃(博士課程 2回生)

実施場所:理学研究科 3号館 109号室

平面グラフについてのオイラーの公式の、双対グラフを用いた証明と、公式から出る簡単な帰結について、高校生に発表させた。この証明は、初等的で、かつ数学的帰納法を用いない点に特色がある。講読している本『天書の証明』の第10章の前半に当たる。

 

ELCASメンバー用WIKI・数学もご参照ください。より詳しい解説の記載があります。

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今日は遅刻したので、途中からしか受けられなかったのですが、質問できてよかったです。次の発表のため頑張ります。
  • 難しかったのですが、オイラーの公式「n-e+f=2」という美しい式におさまったので、嬉しいです。文字がたくさん出てきて少し混乱しました。
  • 「n-e+f=2」という平面グラフの頂点と辺、面のとっても簡単な関係からいくつもの命題が成り立つのがすごい。よくこんなに思いつくなと思った。
  • 多くのグラフが出てきて、複雑でまぎらわしかった。
  • 今回のテーマは面白かったけど、見てるだけだったので、ところどころよく分からなくて難しかったです。
  • 今回もイメージを必要とする証明だったので楽しかった。
    特にプラトン立体についての説明は面白かった。
  • 自分で読んでくると分かりやすい。
  • 今日は平面と立体のこととかいろいろ学べて楽しかった。

物理

チューター:佐田優太(修士課程1回生),酒向正己(修士課程1回生)

実施場所:理学研究科 5号館 511号室

4月4日の中間発表のために、プレゼン資料の講義とその作成を2グループに分かれて行ってもらった。
2回の模擬発表を経て、お互いに良い点悪い点を指摘し合い、2回目では共になかなかの発表になっていた。

講義の様子 高校生の発表の様子

 資料作成の様子

受講したELCASメンバーの感想文

  • 次回のプレゼンのパワーポイントを作りましたが、わかりやすくわかりやすく・・・と
    思うと、どのように作れば一番良いのか、作るのがとても難しかったです。
    また、過去のことを振り返るとあまりちゃんと覚えてなくて、ノートを書くということはとても大事だなと実感しました。
  • 次回は初めて私たちのこれまでの成果を発表します。
    今日はそのプレゼンテーションの準備を行いましたが、 予想以上に自分たちの意図を伝えるのは難しいと思いました。 ですが、次回は頑張ります。
  • 今日は今までのことをまとめてプレゼンを作りました。 改めてプレゼンつくりは難しいと思いました。
    あと、難しい内容をやってきたんだな、と実感しました。
  • 今までのELCASを振り返ってみると、本当にいろんなことを教えてもらったり、経験させてもらいました。
    これからもいろいろお世話になりたいと思います。

天文

長田哲也教授
チューター:佐野武(修士課程2回生),田村哲之(修士課程2回生)

実施場所:理学部4号館5階会議室

3月21日の実習では、回折格子を用いた分光器の自作実験を行なった。
厚紙とCDの断片を用いた簡単なものであったが、受講生は生活に身近なCDが分光に使えることに驚いていた。太陽光、白熱灯、蛍光灯を分光するとそれぞれ違ったスペクトルが観測されることを確認し、Excelを用いて各波長の光が観測される角度を計算した。まだ表計算ソフトには不慣れな者が多かったが、サポートによって求めることができた。計算値を装置に目盛り、観測される色と理科年表の値を比較した。
受講生はそれぞれの色の光が何ナノメートルの波長を持つのかを学習してはいるが、そのような小さなスケールの長さを人類がどのようにして知ることができたのかは理解していなかった。今回のような簡単な自作装置で測定できることを受けて「この方法を考えた人は頭がよい」と感想を述べていた。

回折の原理について説明を受ける様子 自作分光器を用いて波長測定

PC表計算ソフトを用いて波長との関係を計算

受講したELCASメンバーの感想文

  • 今回はCDを用いた、回折格子作りでした。高校内容だったので簡単でしたが、工作は楽しかったです。計算で求めた波長が実際の波長よりも少しずれていたので、くやしかったです。どこかに誤差があったようです。
  • 理屈が単純だったおかげでわかりやすくてよかった。また、蛍光灯が太陽のように数多くの光が入っているというわけではないということに驚いた。
  • 身近なものから、nmとかμmの世界の数字がわかるというのはすごいと思った。
    化学反応でも日常生活でも、いろんな発光現象があるので、分光してみたいと思った。CDのように、規則的に小さいみぞが続いているものであれば分光できるということなので、他にCDの代用になるものがないか考えてみたいと思った。
  • 今日は、回折格子をつくっていろいろな光のスペクトルをみました。今まで、教科書や問題集で解いていた、問題の題材がこんなに、おもしろいとは思いませんでした。
  • 分光器を作るのは今回で3回目だったが、Excelを使って波長を簡単に出せたのは楽しかった。今回のExcelの操作で表計算をマスター!とまではいかないものの、結構使いこなせるようになった。青と黄の波長がとくに正確に出たと思う。
  • 今日から、実験を行うということで、楽しみにしていたが、期待以上に面白かった。家で色々しらべたいです。星の光をエネルギーにするっていうのは実用できたらすごいと思います。
  • テスターの抵抗が大きいと聞いておどろきました。波長は来年物理で習うと思うのでいい勉強になった。家でもCDを割りたい。理科年表が欲しいです。
  • 本日の体験学習は、回折格子による分光でその光の波長を調べることでした。最初は、プリントの内容についてさっぱりわかりませんでしたが、やっているうちに理解していけたのでよかったと思いました。
    学校の方では学ぶことのないだろう内容なので、新しく学べて楽しかったです。身近にあるものが、このような実験に使えるって本当に凄いと思うし、好奇心がどんどん沸いてきます。またこのようなことをしてみたいと思いました。

生物

森哲 准教授
チューター:来田村輔(博士課程5回生),持田浩治(博士課程4回生)
実施場所:理学研究科2号館 316号室

まず、北部キャンパス内の草地でハラヒシバッタの跳躍行動を観察し、自然状況下での行動を眼でよく見て、必要な情報を野帳に記録するという手順を学んだ。跳躍は非常に速い動き(0.5秒以下)であるため、跳躍中の詳細な動作を肉眼で追うことは難しい。そこで、ヒシバッタを採集し、室内実験下においてその跳躍行動を高速ビデオカメラを用いて録画した。撮影は1秒間に250回のコマ数で行い、その録画映像を見ることによって、ヒシバッタの跳躍行動の詳細を観察した。
また、ヒルヤモリの跳躍やシシバナヘビの捕食行動も同様に撮影して、その動きを観察した。最後に、視覚を用いた動物のコミュニケーションを調べる手法の一端として、スペクトロメーターによる体色の測量を体験した、モンシロチョウとアカハライモリを材料として、その翅や腹部の可視光の反射曲線を測定し、動物の体色を客観的に評価する手法を学んだ。

野外でのハラヒシバッタの跳躍行動の観察
ハイスピードビデオカメラを使った動物の行動の撮影
  撮影したビデオの解析

受講したELCASメンバーの感想文

  • 動物行動学がどういうものか、今まで全く知らなかったので、 どんなことをやるのかドキドキだった。バッタやヤモリなど様々なものの動きを見て、小さい生き物も1つ1つの動きはいろいろあったし、すごいなと思った。
    また色の波長については、同じ色にしか見えないのに違う色だったりして、面白かった。紫外線が見える虫とかが見えている世界は、実際にどんなふうになっているのか体験したいと思った。人とは違う動物の目線で見ることは、とても難しいことだけど、そういうゲームとかができたらぜひやってみたい。

  • 今日は様々な動物の行動を観察して、それをビデオに撮って記録するということをしました。
    ハラヒシバッタはすばしっこくて1匹しか取れず、採集や観察の難しさ(?)を感じました。このバッタの足が1本取れたやつの動きをスロー再生した時の動きが、何というかいじらしかったです。回転しながら跳ぶとは意外でした。スペクトロメーターを使った、ものが反射する光の解析では、花の中には紫外線などの目に見えない光を反射するものがあり、昆虫から見ると全く違うように見えることに驚きました。虫からは金や銀色はどのように輝いて見えるのか気になります。

  • 今日は田圃に行ってバッタを捕るところからはじまりました。田圃は結構暑くて、バッタ以外にクモがたくさんいて、見分けるのが大変でした。バッタを捕まえて観察した後、超ハイテクなカメラでバッタが飛ぶ瞬間や、ヘビがネズミを食べる瞬間を撮影しました。撮影したビデオを見ていると、映像がコマおくりになってみることが出来たので、一つ一つの瞬間が始めて見る世界で面白かったです。もう一つ、光測量をやったのですが、タンポポの黄色と折り紙の黄色が全く違うことや、モンシロチョウの羽は特別だということを知って、少し驚きました。今日はいろいろな実験が出来て面白かったです。

  • 今日は楽しかったけれど、こわい面もありました。バッタを捕まえて、ハイスピードカメラを使って撮影したり、ヤモリが跳ぶ所やヘビの捕食の瞬間を見ました。バッタは想像していた跳び方と全く違って、バク転をしながら跳んでいてかわいかったです。ヤモリはうまく撮れなかったけど、おもしろ映像が撮れたので良かった。ヘビはほんまに残酷で直視できなかった。後は色を見ました。人間が見ている色と、ミツバチなどの虫が見ている色は違うと知って驚きでした。今日は楽しかったです。