体験アーカイブ・2009年1月17日
体験学習コースの受講模様を分野別に掲載しております。
数学
森脇淳 教授
チューター:木村嘉之(博士課程 2回生),長尾有晃(博士課程 2回生)
実施場所:理学研究科 3号館 109号室
講読している本「天書の証明」の第22章の文中で出ている問題について、 そのうちの二つを高校生が、難しいと思われる一つをTAが説明した。 その過程で、グラフの概念、とくにホールの定理が近傍の濃度についての条件からマッチングの存在を主張していること、さらにそれには 頂点の次数についての条件が十分であることを理解してもらった。
物理
今井 憲一 教授
チューター:佐田優太(修士課程1回生),酒向正己(修士課程1回生)
実施場所:理学研究科 5号館 511号室
放射線を計測する検出器の説明とその応用事例の紹介。 物理全般の知識と特に原子核乾板(エマルジョン)の説明。 その後、実際に研究で使われているエマルジョンを使って、ビームインタラクションやα崩壊のを探した。皆、真剣にエマルジョンのデータを見つめ、研究というものの面白さと大変さに触れてもらうことができたと思います。放射線検出器の説明 |
物理全般に関する説明 |
エマルジョンの画像をPC上に表示し、目的の飛跡を探している。 |
受講したELCASメンバーの感想文
- いろいろ自分で考えておもしろかったです。ウランガラスにブラックライトを当ててみたかったです。周りに意外と放射線があっておもしろいですね、恐いけど。
- 最先端の科学の厳しさが分かりました。また最先端の研究をすると、装置やプログラムも自分で作らないといけねいし、論文を書くのにえいごもできないといけないし、いろんな知識や技術がいるということが分かりました。
- 高校では、見ることのできない装置を実際に見て触って操作することができたことはとても良かったと思いました。また、原理なども説明してもらえるので、非常に理解しやすく、さらに、粒子というなかなか理解しにくいことだっただけに良かったと思いました。
- 一時間くらい探したけどα崩壊が見つからなくて、科学の厳しさを思い知った。もっと楽に見つけられるソフトとか開発できたら良いのにとも思った。確率がどうの・・・っておっしゃってたが、めちゃくちゃ低いんだろうなぁと思ったけど、その確率も計算で出せるんなら出したい。
- 今日の、α崩壊を探すのがすごく大変で疲れました。研究は大変だなぁ、と思いました。また実験器具や装置も研究の第1発見者になるには自作しないといけないということで、今日は研究の大変さを知りました。でも、めげずに研究を将来的にはしたいな、と思いました。
- 今日のは、原子核の研究で実際に最先端の場面で使われている装置を体験させてもらった。結果は厳しいものだったが、本当の科学には粘り強さや忍耐力が必要なことを、身をもって知ることができた。
天文
北井礼三郎准教授
チューター:橋本 祐樹(修士課程1回生),阿南 徹(修士課程 1回生)
実施場所:理学研究科4号館(宇宙物理)
太陽スペクトルのデータから太陽の自転速度を求めた。 自転速度の計算の手順については、初回に紙と鉛筆で行っており、今回は、それをエクセルを用いて解析した。スペクトルの位置を求める際、スペクトルのフッィティング(2次)を行って極小値を求める方法を前回課題とした。
始めに、その求め方について、生徒の一人に発表してもらい、各自のやり方と比較 し、別の方法などの意見交換を行った。前回の欠席者にも方法を理解してもらい、 各自で、太陽の東と西の自転速度を求めた。また、余裕のある生徒は、地球の自転の測定への影響についても考慮し、値を求めた。
その結果は、10月18日午後3時半の測定結果として、東 -1.3km/s、西 +2.1 km/s 平均 1.7km/s で全体として +0.4km/s のレッドシフト、その時刻の京都での地球の自転の効果は +0.3km/sという 結果を得た。
エクセルで計算中 |
エクセル画面 |
全員の測定結果 |
受講したELCASメンバーの感想文
- Excelで近似式を使い、最小値となる値を求めることで、数値自体はややこしくなったが、”正確さを求めるんだ!”的な感じが出た。
- 観測データさえあれば計算で図鑑に載っているような数値が出せることに感動しました。家でまた計算して、やり方を覚えておきたいです。次回もがんばります。
- 今日の実習は一番はじめの実習のまとめというか、データを自分でだして太陽の速度を出すものでした。正直もうPCは見たくないと思うぐらい毎回PCはいじるのですが、今回はもうナンバーロック使いたくないと思いました。データを集めてる時はとても疲れましたが、そのデータをまとめて解説をきくと納得する点が多く好奇心をゆさぶられました。そして、今回の実習で改めて知ったのが、日々刻々と太陽が地球に近づいてくるということで、数字でみてみると実感が沸きました。私はこういうことがこの実習で知れて本当によかったと思います。
- 光のドップラー効果により太陽の自転速度をパソコンを用いて計算した。地球の自転により太陽の東側と西側で測った速度が異なるということだが、あとで、家で地球の自転による影響を計算してみたいと思った。
- 今日の実習でやった計算は途中ミスりましたが、最終的に皆と同じような結果になってよかったです。また、この分光観測は、天文学をやる上での基本といわれていたので、このことは、もし、自分が天文学の分野に進んだ時に、とてもいきてくると思います。
- 暖房と熱血教師の相乗効果で、とても暑かったです。
- 今日は太陽の自転速度を求めさせてもらったが、ほとんどPCによる作業だったので、苦労した。一回目は長さの計測も数値の計算も全て手で行ったが、今回は電卓すらPC内のソフトを使った。まあ、一応、正常な値が出せて良かった。ちなみに、太陽とのふれあいは今日で終わりである。また、将来、太陽とふれあえたらいいなと思う。
- 最初の実習の時に紙でやったことをPCでやるとは思ってもみなかった。その日は失敗したけど今日はうまくいってよかった。
生物
七田芳則 教授, 今元泰 准教授, 山下高廣 助教
チューター:前田亮(学部4回生), 矢野雅裕(学部4回生)
実施場所:理学研究科6号館405号室
桿体視細胞外節から調製したロドプシンに光を当てて退色させ、これにレチナールを加えることによりロドプシンを再生させるなどして、その光反応を調べた。 また、元々ロドプシンに結合している11-cisレチナール以外に9-cisレチナールで再生させた試料(アイソロドプシン)との比較により、ロドプシンの吸光特性や光反応の性質を考察した。 液体窒素温度下で起こるロドプシン・アイソロドプシン・バソロドプシンの可逆的光化学反応を、色の違いを元に観察した。
液体窒素中で試料に光を照射(暗室) |
反応後にできたバソロドプシンを観察 |
室温で光を当て、退色する経過を観察 |
受講したELCASメンバーの感想文
- 普段、特に意識することなく物を見て色を認識していますが、視細胞などが働いて見えているんだということを知れた。学校で目については大まかに習ってはいましたが、実際に見てみてとても楽しかった。日々、視細胞には大変お世話になっているんだなと思った。あと70年くらいがんばってもらいたいと思います。
- 今日は視物質についての実習をしたので、とても身近に感じることができました。実習を通して、なぜ光を見るときこういうことが起こるかという、自分たちも体験したことがあることを教えていただき、とても興味がわきました。また、人間は赤・緑・青を感じるけど、他の生物では人間が紫外線と思っている波長の色が見えるということを聞いたのも参考になりました。実習では、液体窒素をかなり使用していて、私はそれを使ったことがなかったので、印象に残る実習になりました。
- 今日は、目玉から取り出した、色覚にかかわるレチナールという物質が、光によってどのように変化するかを学びました。当てる光の色によって立体構造が変わり、その結果、色がさまざまに変化するのは見ていて飽きませんでした。実際では、液体窒素を使ったのですが、手をつっ込んでもほとんど冷たくなかったたのは驚きでした。大学に入ったら液体窒素を十分に使えるようなので、がんばって大学に入ろうと思いました。
- 今日は、たんぱく質にロドプシンを吸収させて、色の変化を見る実験をしました。このたんぱく質は目の網膜にあって、当てる光の波長によって見える色が変わるみたいです。この実験で、液体窒素を使用することができました。僕にとって、液体窒素を扱うのは初めてだったので、とてもワクワクしました。実際に、液体窒素を手で触ったりできたので、嬉しかったです。最後に、目玉からロドプシンを出している映像をみせてもらいました。はじめて見る光景だったので、少しビックリしました。
- 今日は、視物質の光反応をしました。11-シス型レチナール(ロドプシン)が全トランス型レチナールとか9シス型レチナール(アイソロドプシン)とかに変わったりしてるのがとてもおもしろかったです。物質の変化が色として目でみえて分かったのでとても興味がありました。冷やしたりあっためたりしたら色が変わっておもしろかったです。光があたったらだめな時には赤色のランプで実験しました。なんか目が変になった気がして、こういうかんきょうで長時間実験をするなんてすごいなぁと思いました。最後に目玉の解剖の動画をみせてもらいました。あれは・・すごかったです。とにかくすごかったです。今日は楽しかったです。
- 今日は、視細胞を使って細胞の中でおきている現象を見ました。人が色を感じることができるのは、レチナールというビタミンAが関係していることを知りました。人は、420nm~680nmくらいの波長の光しか見ることができないことも、機械を使うことでよくわかりました。色は、ビタミンAの形を変えることによってちがいがでることをしりました。色がわかるしくみについて、少し理解することができて、楽しかったです。