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(10) 今太陽活動周期に大フレアを起こした黒点群

太陽の活動は、11年の周期で活発になったり静穏になったりを 繰り返します。昨年度は太陽活動が活発な時期で、1996年から 始まった第23太陽活動周期の極大期にあたりました。 この時期には、フレアと呼ばれる急激な増光を伴う太陽面爆発現象が 頻繁に発生します。実際、2001年には、21回の大フレア(Xクラスフレア)を 含めて合計2432回のフレアの発生が報告されています。 そこで私たちは、今太陽活動周期にXクラスフレアを 発生させた黒点群についてその特徴を統計的に調べることにしました。 Xクラスというのは、X線の強度によるフレアの分類のうち最も大きな クラスです。ちなみに、クラスが一つ違うと強度は10倍異なり、 大きな順に、Xクラス(大規模)、Mクラス(中規模)、Cクラス(小規模)と 分類されます。

1997年1月から2001年12月までの5年間に出現した黒点群は1758個あり、 そのうち少なくとも1回はXクラスフレアを発生させたものは 25個(全体の1.4%)でした。 これらの黒点群について、太陽観測衛星SOHOの磁場観測装置のデータや TRACE衛星の可視光像・ドームレス太陽望遠鏡の線像を用いて 発達過程(黒点の出現・運動・崩壊など)とフレア活動との関連をしらべました。 その結果、Xクラスフレアを発生させた黒点群では、下の図に示したような 黒点の出現と回転運動がみられることがわかりました。 黒点の回転運動は捻れた磁場の出現に関連すると思われ、大フレアの エネルギーは磁場の捻れに蓄えられていたのではないかと考えています。

(石井 貴子 記)



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