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(9) 多波長観測による浮上磁場と太陽フレア等増光現象との関連の研究

この研究では、地上望遠鏡であるLa PalmaのSVST(Swedish Telescope)や宇宙 空間で観測しているYohkoh衛星、SOHO衛星(Solar and Heliospheric Observatory)から得られる、多波長で高分解能である画像と分光されたデータ を解析しました。今年の夏には、SOHO衛星と京都大学飛騨天文台の共同観測を 行ないました。

私達は、時間、空間共に分解能がとても大きなデータを使い、捻れた浮上磁束 管と小さなtwo-ribbon フレアの因果関係について研究をしました。 図1の左図ではSVSTによって観測された可視光(G-band)での浮上磁場領域を示 しています。図上には、time sliceの線が重ねてあります。空間分解能はこの 種の研究としては、ほとんど最大に近い値です。(0.5 arcsecs)中図で は、この線に沿った領域の変化の過程を示しています。X軸は線に沿った方向、 Y軸は時間を表しています。右側の濃い黒点が明らかに左側の黒点の方向へ動 いています。通常、フレア時には浮上磁束管の足元は広がるので、この動きは 風変わりです。このことは、磁場が捻れて、かつ圧迫されていることを意味し ます。浮上磁束管とその上空にあるコロナ層の相互作用が、小さなフレアを引 き起こしたのです。右図では、 の画像の中にフレアのtwo-ribbonを 見ることができます。two-ribbonをつなぐダークフィラメントが磁力線に沿っ て存在しています。その図上に、極紫外線(白線)のデータ、X線(点線)のデー タを重ねており、これらは、ポストフレアループからのコロナ放射を示してい ます。極紫外線の外側の点線は浮上しながら捻れている構造の上空にある大き なループの脚を表しています。しかし、一番強い極紫外線の放射は磁場が最も 強い場所である右側の黒点から生じています。このことは、一つではなく、二 つのポストフレアループの脚を観測していることに起因しているのかも知れま せん。今回の観測結果は理論的な磁気リコネクションモデルの範囲内で説明さ れます。

(BROOKS, David H. 記)



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