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(17) 太陽黒点の暗部に見られる、ライトブリッジからのプラズマ放出
現象

太陽表面の活動現象は磁場構造の変化に起因していると考えられています。 黒点が生まれ成長する段階では、次々と複雑な磁場構造が形成され、 盛んな活動現象が起こります。 サージと呼ばれる暗く細い筋状の噴出現象もその一つで、 太陽内部から浮上した磁力線が既存磁場と磁気再結合(磁気リコネクション)し、 エネルギー解放することで引き起こされると考えられています。 一方、崩壊段階にある黒点暗部では、サージなどの活動現象は起こりにくいと 考えられていました。 ライトブリッジ(light bridge; 黒点暗部内に見られる細長く明るい領域、 黒点の崩壊段階で見られることが多い)からのサージについても ごくわずかに観測例があるものの、詳細な解析はなされてきませんでした。

しかし私は、黒点が崩壊する際の磁場構造の変化もまた活動現象に何らかの影響を 及ぼすと考えました。 そこで私は2000年5月2日に、活動領域NOAA 8971にあるライトブリッジを 京都大学飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡を用いて線で観測し、 そこから噴出するサージを発見しました。 ライトブリッジはこれまで、周囲と同一の磁場極性を持ち 磁場構造も単純であると考えられてきましたが、今回の観測で、 浮上磁場の存在等複雑な磁場構造をしている可能性が強く示唆されました。 この結果は、黒点の進化、特に崩壊段階での磁場構造と活動現象の 描像に対して、新たな問題提起となる重要な結果といえます。

(浅井 歩 記)



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