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(11) 激変星おおぐま座DV星の大増光

激変星とは青い白色矮星(主星)と赤い晩期型主系列星(伴星)が重力で結び付い てお互いの回りを公転している連星系です(図1)。伴星の方の表面のガスが流 れ出して主星の回りに降着円盤を作っています。公転面の傾いてる角度によっ ては、伴星が降着円盤や伴星を軌道周期毎に隠す『食』が観測されます。食中 にどのように暗くなっていくのかを観測・解析することによって、降着円盤の 形状や温度の分布を調べることができます。降着円盤は激変星のみならず、ブ ラックホールX線連星や活動銀河核等の変動現象も引き起こしており、降着円 盤の状態が調べられる食を示す激変星は大変重要です。

この激変星の一つ、DV UMa (おおぐま座DV星)が1995年と1997年に増光(アウト バースト)した時に詳しい観測を行ないました。特に1997年のものは100倍以上 も明るくなり、18日以上も続く大きな増光でした。このアウトバースト中の光 度曲線が図2です。

急に暗くなってまた明るくなっている部分が食で、約2時間に繰り返し起こっ ています。この食は観測初日にはやや継続時間が長く、浅い食であるのに対し、 段々日が経つにつれて継続時間が短く、また深い食になっているのがわかりま す。これはこのアウトバーストごく初期に降着円盤が大きく広がっていて、徐々 に小さくなっていくことを示しています。このことは降着円盤不安定性から理 論的に導き出される結果とピタリと一致します。

また食以外に周期的に明るくなるなっているのがわかります。これは激変星の 中でもSU UMa (おおぐま座SU星)型矮新星のスーパーアウトバースト中にしか見 られないスーパーハンプと呼ばれる現象です。この観測によって、DV UMaが史 上5例目の食を示すSU UMa型矮新星であることが確定しました。

スーパーハンプは軌道周期より数%長い周期を持つのが特徴で、スーパーハン プが0.5等もの振幅を示す図2(b)-(d)で、スーパーハンプの極大の位置が食の 直後からだんだんとずれていくのが見えています。図2(e)-(g)ではまだアウ トバーストが継続中であるのにスーパーハンプが減衰してしまっている、珍し いスーパーアウトバーストでした。

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(野上 大作 記)