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(12) トルコ日食データの解析
1999年8月11日、20世紀最後の皆既日食がヨーロッパからインドに至る多くの地域 で見られました。京都大学の観測チームは、トルコ共和国エラズー市郊外を 観測地に選び、この日食中のコロナの撮像を行いました。 今回の観測の特徴の1つは、京都大学チームとして初めてCCDを検出器に採用した ことです。約20002000画素の大容量CCDの利用により、これまでの写真 観測に比べて測光精度のよいデジタルデータを得ることができました。 図1にその例を示します。太陽北西縁の活動領域上空のコロナが3つの異る波長 域で観測されています。
今回の日食のもうひとつの特徴は、前回(約10年前)の京都大学チームによる 日食観測の際には1つも存在しなかった人工天体が、大気圏外から同時に太陽を 観測している点です。1991年8月に打ち上げられ現在も順調に観測を続けている 日本のX線観測衛星「ようこう」や、1995年よりヨーロッパの国々とアメリカが 共同で運用している SoHO(ソーホー)、1998年に打ち上げられたアメリカの 衛星 TRACE(トレース)などによる観測データが、インターネットをはじめ とする電子技術の発達により、国境を越えて手軽に入手できるようになりました。 これらのデータと我々のデータを総合的に解析する試みが現在も続けられています。
(武田 秋 記)
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