60cm反射望遠鏡
60cm反射望遠鏡の紹介
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60cm反射望遠鏡は昭和35年(1960年)に完成しました。当初は花山
天文台に設置されていましたが、昭和43年(1968年)に飛騨天文台
の開台とともに、飛騨天文台の最初の望遠鏡として移設されました。
初期には眼視によって、後にフィルム撮影によって、惑星や月、及び
彗星の尾の研究に活躍してきました。
現在ではCCDカメラを用いた
測光観測により、ブラックホール、X線連星や激変星などの突発天体、
あるいは恒星フレアなどの幅広い恒星活動現象の観測に活用されて
います。γ線バーストという巨大な爆発現象を通して、宇宙の果てを
探る研究にも活躍が期待されます。
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観測準備中の60cm望遠鏡ドーム内。
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60cm望遠鏡性能
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口径 | 600mm |
製造者 | 津上製作所 |
焦点距離 | 3300 mm (ニュートン焦点:主焦点) |
| 12000 mm (カセグレン焦点) |
F-数 | 5.5 (ニュートン焦点) |
| 20.0 mm (カセグレン焦点) |
分解能 | 0″19 |
集光力 | 7,400 |
限界等級 | 19.0等級 |
日周精度 | 1.5″/30分時 |
筒の大きさ | 860mmφ×3,700mm |
望遠鏡総重量 | 4.5トン |
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Johnson/Cousins(Bessel)のB,V,R,Iの4色のフィルターと
フィルターなしでの観測とを、ターレットを用いて切り替えられる、液体
窒素冷却CCDカメラを用いた測光観測が主体。分光観測装置の開発も
進められています。
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最近のピックス紹介
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左の図はりゅう座MN(MN Dra)という激変星(右下図)が、約2週間に渡り普段
より100倍ほど明るくなるという大増光を起こした時に観測された、細かな光
度変化の様子です。激変星とは、明るさが時間と共に変化する「変光星」のう
ち、急激に光度が変化する星のことを言います。
横軸はユリウス日、縦軸は比較星からの相対等級*1です。
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このような大増光は、降着円盤*2全体が急激に熱くなることによっ
て起こると考えられています。この光度曲線では、2時間半の周期で約25%の明
るさの変動があることがわかります。これは降着円盤*2が伴星か
らの潮汐力を受けて、楕円形に歪んでいる時に見られる現象です。
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60cm反射望遠鏡で撮像された、激変星 MN Dra (黄色マークに挟まれた星)。
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- 変光星の明るさの変化は、近くにある変光星でない星(比較星)との相対的な明るさ調べて求める
- 非常に重力の強い天体の周りに円盤状に集まったガス(右図参照)
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最近の代表的研究成果
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Photometric Observations of an SU UMa-type Dwarf Nova, VW Coronae
Borealis, during Outbursts
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D. Nogami, M. Uemura, R. Ishioka, T. Kato, J. Pietz, 2004,
2004, PASJ, 56, S155
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In-the-gap SU UMa-type dwarf nova, Var73 Dra with a supercycle of
about 60 days
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D. Nogami, et al.,
2003, A&A, 404, 1067
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Structure in the early afterglow light curve of the γ-ray burst
of 29 March 2003
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M. Uemura, et al.
2003, Nature, 423, 843
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