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(3) 大フレア発生直前に発見された温度最低層の加熱現象

強い太陽フレアでは、強い放射線や大量のプラズマが惑星間空間に放出されて、 大きな津波のように地球に押し寄せるので、地球や人工衛星の電気・情報通信 システムが破壊されたり、宇宙飛行士が被爆したりする危険性があります。従 って、これらの被害を最小限に食い止める為に、強い太陽フレアの発生を予測 する研究が重要と考えられています。

2000年6月6日の大フレアの発生(図1)に先立って、その2時間前から光 球と彩層の予熱現象が起こっていたことが今回の研究ではじめて明らかになり ました。フレアエネルギの解放は太陽コロナ中で起こるので、光球フレアや彩 層フレアの増光は、そのエネルギーが伝播して生ずる二次的なものと、これま では考えられていましたが、それに反して、彩層底部から温度最低層のフレア がコロナのフレアに先立って起こっていることが今回はじめて発見されました。 これは大フレアの予測にもつながるものと考えています。

図2はTRACE衛星で得られた極紫外線像です。左側の1600 (温度最低層)で見られる強い増光は右側の171 コロナ像では見えません。 これはコロナのフレアの前に、その下で、既にエネルギー解放が起こっていることを 示しています。図3左側のH 像(温度最低層)では、1600 Å像と 同じ場所に増光が見られますが、右側の中心像(彩層 上部)では、その中心部分には未だフレアは起こっていません。 実際にこれらの場所の明るさの時間変化を測定したのが図4です。 矢印で示している大フレアの発生の約2時間前から強い増光が始まって いることがはっきりと判ります。

(黒河 宏企 記)



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