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(7) 国際協同観測によって明らかになった、太陽の捩れた磁束管構造

昨年(2000年)の5月から6月にかけて、米国ロッキード太陽天体物理 研究所のSOUP観測チームがLa Palmaで観測する時期に合わせて、 飛騨天文台でも協同観測を実施しました。 これは昨年(2000年) 2月に筆者らがLockheedを訪ねた際に、 Allan Title、Tom Berger、Richard Shine達と実施について 打ち合わせておいたものです。 飛騨天文台での観測が終わる(08-09UT)頃に、La Palmaでの 観測が始まるので、高空間分解能の観測を連続して行うことが 出来るということが、国際協同観測の狙いです。 TRACEもこの期間、同一領域を観測しました。

この協同観測期間中に、幸いにして、我々の目的に合致した 活動領域NOAA9026が出現して、強いフレア活動を起こしました。 図1に飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡のH-alpha撮像装置で 得られたこ領域の進化を示しています



図から判るように6月6日から6月7日にかけて、中央の黒点が 急激に回転して8日には崩壊を始めています。 面白いことにこの間にXクラスフレア3個とMクラスフレア2個、合計5個の 強力なフレアが発生しました。 我々はこの間の磁場構造と黒点の固有運動などを人工衛星のデータを 用いて調べて、図2のような捩れた磁束管が浮上するモデルを作りました。 この我々の図によって、捩れた磁束間が浮上する際に、磁束管全体の捩れが 中央部に集められてdelta型の黒点を作るとともに、不安定化によって急激に 回転したことが始めてはっきりと示されました。 この時にその捩れのエネルギーが解放されて強力な5個のフレアが 発生したと考えることが出来ます。

(黒河 宏企 記)


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