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太陽型星スーパーフレアから巨大フィラメント噴出の初検出

―昔の、そして今の惑星環境や文明に与える脅威―

 国立天文台、京都大学、兵庫県立大学などからなる研究グループは、京都大学のせいめい望遠鏡などによる観測で、若い太陽型星で発生したスーパーフレアに伴って巨大フィラメントが噴出しているようすを初めて捉えました。

 巨大な太陽フレアは、しばしばフィラメント噴出(質量噴出)を伴って地球環境に影響を与えることが知られています。 若い頃の太陽や、若い太陽型星(太陽に似た恒星)では、超巨大な「スーパーフレア」が若い惑星環境に影響した可能性が推測されていますが、フィラメント噴出の有無は全く知られていませんでした。 国立天文台行方宏介特別研究員(旧京都大学博士課程学生)らの研究グループは、京都大学「せいめい」望遠鏡等を連携させ、若い太陽型星りゅう座EK 星のモニタ観測を実施しました。 その結果、太陽型星で初めてスーパーフレアの可視光分光観測に成功し、さらに超巨大なフィラメント噴出を伴っていることを発見しました。 噴出した質量は太陽での史上最大級の質量噴出現象の10 倍以上で、約500km/s もの速度で噴出していることが判明しました。 この結果は、若い太陽や太陽型星は現在の太陽系に比べ惑星環境に非常に大きく影響していた可能性を示唆し、今後惑星での生命の誕生・維持の理解にもつながりえます。 また、もし今の太陽でスーパーフレアが発生した場合の地球環境への影響を予測する手がかりともなり、我々人類文明にとっても重要です。

 本成果は、2021年12月9日に、英国の国際学術誌「Nature Astronomy」にてオンライン掲載されました。
Namekata et al. “Probable detection of an eruptive filament from a superflare on a solar-type star”

若い太陽型星「りゅう座EK 星」の想像図
若い太陽型星「りゅう座EK 星」の想像図。
スーパーフレアの発生に伴い巨大なフィラメント噴出が起こるようす。(クレジット:国立天文台)