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カシオペヤ座で発見された新天体をせいめい望遠鏡で新星と確認

 三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんによってカシオペヤ座の中に明るい新星が発見さました。 中村さんは3月18日19時10分に焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、カシオペヤ座の中に9.6等の新天体を発見しました。 この情報は国立天文台の新天体通報窓口を通じて国際天文学連合に通知され、それを受けて京都大学・国立天文台のグループでは発見からおよそ10時間後の3月19日4時40分からせいめい望遠鏡を用いて分光観測を行いました。 観測の結果、この天体のスペクトルには強い水素のバルマー系列や中性ヘリウムの輝線の他、電離したヘリウムや窒素などの輝線がみられることが分かり、これらのスペクトルの特徴からこの天体が極大前の古典新星であることが判明しました。 新星のような突然明るくなる天体の性質を詳しく調べるためには、発見直後から観測を行うことが必要なため、せいめい望遠鏡では、前もって決められている望遠鏡の観測スケジュールに割り込んで緊急に観測を行うことができる制度があります。 今回もこの制度が活用され、発見から分光観測による確認までがその晩のうちに完了する早さで、アマチュアとプロの連携がたいへん良好に機能し、貴重なデータを得ることに成功しました。

カシオペヤ座に現れた新星の位置
カシオペヤ座に現れた新星の位置
せいめい望遠鏡で観測したカシオペヤ座の新星のスペクトル
せいめい望遠鏡で観測したカシオペヤ座の新星のスペクトル

参考文献