- From #195 we cite three articles -
* Ephemeris for Observations of Mars in 1996/97 (IV)
.. Index ........
* OAA MARS SECTION
-- Mars Observation Reports of 1996/97 (#017)--
* CMO CLICKS (10) --
* 10 Years Ago (25)(Japanese)
-- CMO #038 (25 September 1987)--
--1996/97年の火星観測暦表(その5) Oct.1997--
@MGSにはMars Orbiter Camera (MOC)の他、Mars Orbiter Laser Altimeter、 Thermal Emission Spectrometer, Magnetometer/Electron Reflectometer等の科学測 定機器が搭載されている。本格的な火星面撮影は1998年三月中旬からの開始になり、 2000年一月末まで一火星年にわたり火星面を撮影する。その後も2003年まで次の火星 探査のサポート役として観測を続けるという。
@撮影に使われるMOCでは広角と狭角の二種類のCCD静止画像の撮影が可能である。
狭角は望遠レンズタイプで、白黒画像。広角はカラー画像で、魚眼レンズタイプの全
天カメラを使用して、地球の気象衛星画像の様に火星面を撮影する。本格的撮影が始
まれば、画像が地球に着き次第、インターネットを通じてすぐに発表していく計画に
なっている。波長域などは次の通りである:
広角: 11.3mm(F6.5) 画角140゜ 解像度280〜2km/pixel
波長域 赤(580nm) 〜青(400 - 450nm)
狭角: 3.5 m(F10) 画角0.4゜ 解像度1.4m/pixel
波長域 500 - 900nm
@火星軌道到着に先立って、MOCにより、七月2日に始めて火星が撮影された。さら に火星到着22日前の八月20日にも550万km辺りの距離から半月状の火星を撮影してい る。これらの画像は下記のウエッブサイトで見ることが出来る。
http://mpfwww.jpl.nasa.gov/mgs/sci/images/img_current.html
@MGSの詳しい情報は次のURLから辿ると良い。
http://mpfwww.jpl.nasa.gov/mgs/index.html
*MGSの場合、情報には癖があって、時刻はPDT (Pacific Daylight Time)が使われてい る。GMTを出すには7時間加えなければならない。
@2Jlyの画像には、HSTが27Jneに撮ったワッレス・マリネリスの黄雲の痕跡が未だ見 られる。ただ、全体の画像はHSTのものに比べて数段落ちる。それはMGSはHSTより十 倍も火星に近付いているのであるが、HSTのカメラに比べて、MOCは解像度が十五倍劣 るからである。しかし、火星面上空400kmに入ってしまうと、広角カメラの解像力は7.5km/pixel となり、HSTの最上の20km/pixelを凌駕することになる。狭角カメラは1.5m/pixelより好いはずと言う。
@20Augの像は、OAA MARS SECTIONコーナーで既に述べたとおり、三像公表されて いる。
先ず火星から567万km隔てて(82.1゜W、23.6゜N)を中心に撮像され、半月状であ
るからソリス・ラクスが極朝方、午前のマレ・アキダリウムが左側に、シヌス・メリ
ディアニがp-limbに見えるという風景である。ワッレス・マリネリスはまだおかしく、
詳細は興味を引く。北極冠ではカスマ・ボレアレが見える。
第二像は557万kmから
(217.4゜W、23.6゜N)を中心に狙っていて、プロポンティスTが濃く出ており、ケルベ
ルス-ステュックスのぼんやりした暗部描写がよい。エリュシウムは既に述べたよう
に、影を引いて高山であることが分かる。北極冠近くにコロレフ火口が白く見えるの
はこの像で、オリュムピアが明白、リマ・ボレアリスが濃く太い。
最後の像は551万
kmからの像で、(307.3゜W、23.6゜N)中心、シュルティス・マイヨルが見えるものであ
る。白黒のやや寝ぼけた像ながらウトピアの邊りの描写には迫力がある。北極冠もオ
リュムピアがterminatorから遠い分だけ明るい。
#192 p2114の暦表に続き、1997年十月のデータを掲載します。
火星面中央経度 中央緯度 Ls値 視直径 位相角
LCM De Ls App Diam Pha angl
Date (00:00 GMT) degs degs degs arcsecs degs
1 October 1997 262.60 W 10.5 N 190.4 5.2 33.9
2 October 1997 252.83 W 10.2 N 190.9 5.2 33.8
3 October 1997 243.07 W 9.9 N 191.5 5.2 33.7
4 October 1997 233.30 W 9.6 N 192.1 5.2 33.6
5 October 1997 223.54 W 9.3 N 192.7 5.2 33.4
6 October 1997 213.77 W 9.0 N 193.3 5.2 33.3
7 October 1997 204.01 W 8.7 N 193.9 5.1 33.2
8 October 1997 194.24 W 8.4 N 194.5 5.1 33.1
9 October 1997 184.47 W 8.1 N 195.0 5.1 32.9
10 October 1997 174.70 W 7.8 N 195.6 5.1 32.8
11 October 1997 164.94 W 7.5 N 196.2 5.1 32.7
12 October 1997 155.17 W 7.2 N 196.8 5.1 32.6
13 October 1997 145.40 W 6.9 N 197.4 5.1 32.4
14 October 1997 135.63 W 6.5 N 198.0 5.1 32.3
15 October 1997 125.86 W 6.2 N 198.6 5.1 32.2
16 October 1997 116.10 W 5.9 N 199.2 5.0 32.1
17 October 1997 106.33 W 5.6 N 199.8 5.0 31.9
18 October 1997 96.56 W 5.3 N 200.4 5.0 31.8
19 October 1997 86.79 W 4.9 N 201.0 5.0 31.7
20 October 1997 77.01 W 4.6 N 201.6 5.0 31.5
21 October 1997 67.24 W 4.3 N 202.2 5.0 31.4
22 October 1997 57.47 W 4.0 N 202.8 5.0 31.2
23 October 1997 47.70 W 3.6 N 203.4 5.0 31.1
24 October 1997 37.92 W 3.3 N 204.0 5.0 31.0
25 October 1997 28.15 W 3.0 N 204.6 4.9 30.8
26 October 1997 18.38 W 2.7 N 205.2 4.9 30.7
27 October 1997 8.60 W 2.3 N 205.8 4.9 30.6
28 October 1997 358.82 W 2.0 N 206.4 4.9 30.5
29 October 1997 349.05 W 1.7 N 207.0 4.9 30.3
30 October 1997 339.27 W 1.3 N 207.6 4.9 30.2
31 October 1997 329.49 W 1.0 N 208.2 4.9 30.1
この号には「Coming 1998 Mars」の二回目として、「1988年の火星は最良の接近」(南氏・浅田氏)と、三回目として、「最接近前の火星の動態」(南氏)が掲載された。
前者には1986・1988年のペアの火星接近を、視直径とLsのグラフに表して、双子型の二回の接近で視直径の大きな期間に、南極冠の消長が完全に捉えられる事と、黄雲の発生があれば、過去の例のLsに照らしてもこの期間に入っていて、追跡可能な事を示している。二つ目のグラフには、火星の赤緯とLsの関係を表示して、1988年の接近が、1986年の接近に比べ、南中高度がかなり高くなり、北半球で接近前後の時期に観測条件が非常に有利になることを表し、タイトル通り1988年の接近が最良の接近である事が説明されている。
後者には1988年の最接近前までの経緯度図が、視直径の変化の様子を大きさに反映して、一ヶ月毎の間隔で示されている。図には経緯度のグリッドだけでなく、欠け際の線やN線・M線も表示され、それぞれの持つ意味合いも簡単に説明されている。トップページには最接近時の姿が表面の様子の点描画を加えて描かれている。
また、「J.ビーシュ氏のヘラス雲の写真」と題するコラムには、ビーシュ氏(フロリダ)から送られてきた八枚のカラースライドの中から、1986年五月撮影(174゚〜179゚Ls)のヘラスを覆う黄色のヘイズの画像の紹介があり、南半球の春分直前の現象の記録として貴重な資料であるとしている。
連載中の「D.C.パーカー氏の火星写真(1986年)の紹介」は六回目を数え、最接近直後の七月16日(206゚Ls)から七月18日(208゚Ls)までの紫色光写真とTP2415による写真五葉の詳しい説明がされている。タルシス山系、オリュムプス・モンス辺りの山岳雲の様子が捉えられている。
今号から「花山天文台滞在記」として、浅田正氏が七月から八月にかけて、花山天文台に木星観測のために滞在された時の様子が記されている。また南氏の「夜毎餘言」が初登場した。「夜毎餘言」は、この後も南氏の所感として折々に掲載され、現在は第五十二篇に達している。
来信には、Jeff BEISH (USA),Richard McKIM (UK)両氏からの物の他に、国内から、宮崎勲氏、中神輝男氏、松本直弥氏、阿久津富雄氏からお便りが寄せられている。編集後記では、南氏と浅田氏は、この年の夏、非常に忙しかっ由で、その様子が語られている。
(Mk) 村上昌己