2006/12/08
NOAA10798の研究(3):Fitting解析(I)
パラメータ解析において、
以下の問題点が確認された。
- Arch filamentの上昇速度が過小評価されて出てくる(通常10km/s程度が3km/s)。
- Footpointなど、下降流速度が大きいところで速度が反転して
(上昇流として)表示される。
これらに対する原因として考えられるのは、
- Backgroundのintensityの見積もりを誤っている。
(現在の方法では静穏領域の中央値を用いている。)
- Backgroundが静穏ではなくある程度の変化(Doppler shift etc.)が存在している。
- Fittingの初期値が不適当。周囲の状況に合わせて変化させるべき。
(中央値を用いるなど。)
- そもそも5波長観測では不十分。
等である。
ここでは、上記の点についての確認を行なう。
Doppler velocity
2005/08/18 07:38:36UT(Hα center 観測時刻)
Cloud modelから導出したDoppler velocity。
この内、3点(◇、△、□)の領域において、5波長コントラストをプロットした結果を挙げる。
各グラフにおいて、黄色の◇は実際に観測から得られたデータ点。
緑色の+は、Cloud modelによるfitting結果。
- Arch filament (◇)
Source function | 0.21829126
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Optical depth | 0.60668845
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Doppler width | 0.72413042[Å]
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Doppler shift | -0.048466690[Å]
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Error sum of squares | 1.6878384e-06
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Fittingの点から言うと申し分ない。
ただ、欲を言えばもう少しblue shiftして欲しい気もする。
- Arch filament (△)
Source function | 0.18630050
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Optical depth | 0.84576953
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Doppler width | 0.55334296[Å]
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Doppler shift | -0.037023964[Å]
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Error sum of squares | 0.00086402581
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先程の領域と比較すると、こちらは多少当てはめが悪い。
相変わらず、上昇速度が小さい。
- Footpoint (□)
Source function | 0.57426232
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Optical depth | 0.62679516
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Doppler width | 0.23681765[Å]
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Doppler shift | -0.22693180[Å]
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Error sum of squares | 0.047363024
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Fittingの初期値はデフォルトで、pin=[0.2,0.2,0.3,0.0]。
FootpointであるのにDoppler shiftがマイナスと、fittingに失敗している。
- Footpoint (□)
Source function | 0.35907160
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Optical depth | 1.1823301
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Doppler width | 0.46669116[Å]
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Doppler shift | 0.36129959[Å]
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Error sum of squares | 0.0099027033
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Fittingの初期値をこの点の周囲の領域に合わせ、
pin=[0.2,0.2,0.3,0.2]とした場合。
残差二乗和(Error sum of squares)は先程の1/5程度まで減少。
かつDoppler shiftはプラスとなった。
これらの結果を見るに、Cloud modelの当てはめを行なう際には、
その領域の周囲のパラメータを参考にして初期値を定めるのが良いことが分かる。
この結果をもとに、プログラムの改良を行なう。
これで速度場の反転は防げると考えるが、上昇速度が小さく求まるのがなぜなのか、
未だに不明である。
UP