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火星クレーターに、故宮本教授の名前 天文学連合

2007年12月25日07時56分

 地球からはるか9000万キロ。2年2カ月ぶりに地球に接近している火星。そのクレーターに、惑星観測の分 野で国際的に知られる日本人研究者の名が付けられることになった。その名は「Miyamoto」。国際天文学連合(IAU)が決定し、19日に関係者に連 絡が入った。

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火星の全体像。新たに名付けられたクレーター「Miyamoto」は、画像の中心やや左寄りにある=NASAのホームペー ジから

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Miyamotoと名付けられた火星のクレーター=米国地質調査所の画像から

 故・宮本正太郎・京都大学名誉教授(1912〜92)。日本の天体物理学の草分けで、京都大学理学部付属花山天文台を拠点に、太陽コ ロナや火星大気など の研究で多くの業績を残した。アポロ計画では月面地図を作るのに協力するなど国際的に知られ、70年代には月や惑星の地名の命名委員として、水星のクレー ターに「夏目漱石」の名を付けるなどした。

 「Miyamoto」は火星の赤道付近にあり、直径は約160キロ。境界が不鮮明なクレーターの北半分が火星のどのような作用で生じ た のかに研究者らの関心が集まり、米航空宇宙局(NASA)の探査対象の候補に挙げられているという。数十キロ北東では現在、NASAの探査車オポチュニ ティーが活動を続けている。

 宮本名誉教授と同じ広島県出身で、何度か宮本氏に花山天文台にも泊めてもらった経験のある元プラネタリウム解説員、佐藤健さん (69) =同県廿日市市=が01年にIAUに命名を提案していた。火星の地名に日本人の名が付くのは、アマチュア観測家の故・佐伯恒夫さん(1916〜96)にち なんだ「Saheki」(直径85キロ)に次いで2例目という。

 佐藤さんは「宮本先生はアマチュアの活動にも理解があり、天文学のすそ野を広げようと常に気を配っておられた。命名を機に天文学に関 心を持つ人が増えれば、その遺志が生かされる」と話している。


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