最近の活動

2015.7.10

『総合生存学――グローバル・リーダーのために』(川井・藤田・池田編)を京都大学学術出版会から出版しました。  今日われわれが直面する問題は、ますます複合的になり、さまざまな要因が複雑に絡みあうものになっています。その最たる例が、東日本大震災によって引きおこされた問題です。そこには原発に関わる技術的課題はもとより、リスクマネジメント、エネルギー政策、住民参加による合意形成のあり方、将来世代への責任など、さまざまな問題が関わっています。そのような複合的な問題に対しては、単一の専門知識で対処することはできません。個人の生命や自由をめぐる思想、市民社会や国家のあり方、国際関係なども視野に入れながら、人文学や物理学・化学といった基礎科学の素養の上に、情報学や環境学、生命科学などの深くかつ広い学識が必要となってきます。しかも知識だけでは十分ではありません。現場でリーダーシップを発揮する実践力が求められます。総合生存学は、実際に学生を現場に送りながら、文字どおり学問の垣根を越えた教育により、そのような力を身につけた人材を育成しようという知の挑戦であると言えます。本書はそのような総合生存学の具体的な中身を示すとともに、その中へと誘う導きの書です。


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2015.6.20

Kyoto University Executive Leadership Program の一環として、「京都学派の哲学」というテーマで講義をおこないました(於京都大学橘会館)。このプログラムのコンセプトは以下の三つに集約されます。一つは時代や場所を越えて存在してきた物事の「本質」の追求であり、第二は「八思」、つまり広い教養の獲得であり、第三には「京の地」、つまり日本の文化を作りあげてきた京都において、その伝統に目を向け、そこから新たなものを創造していくことです。以上の三つの点を結び合わせることによって新たな価値を生みだそうというのがそのねらいです。


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2015.6.11

第3回総合生存学館ミニシンポジウム「生命と倫理――自己決定権とインフォームド・コンセント」(京都大学総合生存学館会議室) において「生命倫理の諸問題――パターナリズムと自己決定権」というテーマで提題を行いました。


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2015.6.4

京都大学大学院総合生存学館・名誉教授就任記念講演会(総合生存学館・思修館ホール)において、「地上一寸――生きることと詩作すること」というテーマで講演を行いました。

「生きる」とはどういうことか、どういう意味をもっているのかという問いは、総合生存学にとっても重要な問いです。そのことをヨゼフ・ピーパーの「ムーセ」(Muse)という言葉や、シモーヌ・ヴェイユの「民衆が必要としているのは、みずからの日々の生活の実体そのものが詩であることだ」という言葉、あるいは上田三四二の「死はそこに抗ひがたく立つゆゑに 生きてゐる一日一日はいづみ」という歌などを手がかりに考えてみました。詩を作ったり、歌を詠んだりすることは、ただ単に時間をつぶすための営みではありません。人間として生きるためには、生活のために働くだけでなく、上を見上げ、「人間として呼吸する」ことが必要です。詩を作ることは、それを可能にする典型的な営みであると言えるのではないでしょうか。


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2015.4.20

『清沢満之の歩んだ道――その学問と信仰』(法蔵館)を出版しました。

 清沢満之が活躍した時代は、近代化の裏側で宗教が人間の生の基盤としての力を失いつつある時代でした。そのなかで仏教を依拠しながら時代の向かうべき方向を指し示そうとした清沢の思想の全容を、その生い立ちや時代背景、西洋哲学の影響、大西祝や西田幾多郎との関わりなど、広い視座から検証しました。


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2015.3.28

放送大学兵庫学習センター公開講演会において、「西田幾多郎の哲学と芸術」という題で講演を行いました。


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2015.3.21

石川県かほく市にある西田幾多郎記念哲学館のリニューアルオープン記念講演会において、「西田幾多郎の芸術論――その書をめぐって」という題で講演を行いました。


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2015.3.12

Centre Européen d'Études Japonaises d'Alsace (CEEJA) et l'Université de Strasbourg (UdS)で開催された Colloque International MA et AIDA, Des possibilités de la pensée et de la culture japonaises に参加し、「間(ま)と間(あわい)と間(あいだ)」(Voies pour la culture et la pensée japonaises, Le «ma», l' «awai» et l' «aida»)という題で発表しました。

 日本の文化のなかで「間(ま)」の大切さが強調されてきましたが、「間」とは、時間的・空間的なへだたりのことです。あるものとあるものとのあいだに開かれる「情緒的空間・時間」のことです。言葉や音楽、動作、ふるまいに深い味わいを与えるものとして、この空間・時間が、日本文化の伝統のなかで重視されてきました。その特徴は、物と物とを切断すると同時に、両者を結びつける点にあります。この物と物とが分かれつつ、結びつくところ、つまり事物と事物との境目は、「間(あわい)」と呼ばれます。そのへだたりが強調されるときには、「間(あいだ)」と呼ばれます。そこに作りだされる関係を日本の哲学は「非連続の連続」として、あるいは「間柄の倫理」として問題にしてきました。「間」の概念の豊穣さがこの講演の主題です。


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2015.2.25

『思想間の対話――――東アジアにおける哲学の受容と展開』(藤田編、法政大学出版局)を出版しました。

日本、中国、韓国はそれぞれの伝統に依拠しつつ西洋哲学を受容することで近代哲学を形成してきました。哲学や思想における特徴や制限は、他の思想を鏡として、そこに映し出すことで明らかになります。なぜその違いが生まれたのか、互いの違いをどう克服するのか。受容から対話へと続く道をたどりながら、東アジアにおける哲学的創造の新たな意義と可能性を切り拓くことを本書において試みました。


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2015.1.12

台湾中央研究院文哲研究所主催の国際シンポジウム「東亜与西方交流中的跨文化現象」において「形なきものの形――日本の哲学と表現の問題」という題で発表しました。


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