Ten Years Ago (196)
---- CMO
#250 (
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/250/cmo250.html
卷 |
頭には八月前半の観測が纏められ14回目のレポートとなった。この期間に季節λは206°Lsから214°Lsに進むが、黄雲に覆われていて季節感がないとしている。視直径δは17.0"から15.2"と小さくなり、位相角ιは増して35°から40°と欠けが大きくなって、南極地は白夜だが、北極域は欠けの中に入ってしまっている。中央緯度φは7°Nから5°Nへ落ちた。火星の視赤緯はまだ下がっていて、ヨーロッパ各地では南中高度はかなり低い。
この期間には、国内11名186観測、国外11名60観測の報告が寄せられた。若干の追加報告も含まれる。沖縄遠征観測を終えた南氏(Mn)は12Augに福井に戻り、常間地ひとみさん(Ts)も一足先の5Augに沖縄を離れている。滞在中は連日の晴天で欠測日はなく、高度の高い火星を満喫したとのことである。関東では八月上旬は天候が悪く観測は捗らなかった。
この期間、黄雲の拡がりは持続していたが、後半になると若干暗色模様が透けているようにも観測されている。マレ・キムメリウム西部の暗斑は、やや回復したマレ・キムメリウム東部とで二つ玉の様子だったが、9 Aug [47 Days]頃から少しずつマレ・キムメリウム全体が回復してきた。同じ頃にマレ・シレヌムの一部も回復しているが南のエレクトリスに光班が見られ大陸では黄塵活動が続いていた。
オリュムプス・モンスは褐色系の暗斑として捉えられ中央通過後がはっきりしていた。タルシス三山ではアルシア・モンスは正常だが、アスクラエウス・モンスはやや淡く、黄雲の高さに依るものかとしている。パーカー氏(DPk)は、マレ・エリュトゥラエウムからアウロラエ・シヌスあたりの低空の黄雲と暗色模様の様子を捉えた。また、シヌス・メリディアニ、マルガリティフェル・シヌスもうっすらと撮している。
北極雲は秋分を過ぎて太陽高度が低くなり輝きが弱くなっていった。内部の活動は見られていたが、北極雲の分布は一様でなくなり不活性化していった。辺縁に青黒く見えていた暗帯も濃度を落とし、4 Aug [42 Days]にはかなり不鮮明で、その後は濃い部位は部分的に見られるだけになっていった。
南極冠は傾きが7°Nと少し北向きだったが、この期間不明確だった。予想よりも早く縮小したようである。特徴的だったのは南極域朝方に見られた朝雲が長く存在したことで、7 July [14 days]から見え始め9 July [16 days]には顕在化するようになっていた。八月に入り4 Aug [42 days]以降はだんだんと弱まって、8 Aug [46 days]あたりから確認できないこともあるようになり、12 Aug [50 days]には見えなくなっている。
黄雲の安定した七月初めに顕在化した北極雲の活発な活動も、南極域朝方の明るい雲/霧も、同様に黄雲発生から45日から50日目には衰退したように見えるとしている。
LtEは Don
PARKER (FL, the USA), TAN Wei-Leong (Singapore), Nicolas BIVER (the
Netherlands), Frank J MELILLO (NY, the USA), Maurice VALIMBERTI (Australia), Dave MOORE (AZ, the
USA), Richard W SCHMUDE Jr
(GA, the USA) の外国と、阿久津富夫(栃木)、日岐敏明(長野)、熊森照明(大阪)、石橋力(神奈川)、森田行雄(広島)、 伊舎堂弘(沖縄)の国内の諸氏から寄せられたお便りが紹介されている。筆者の藤沢便りも巻末にある。
FORTHCOMING 2001 MARS (13) は、西田昭徳氏の「これからの火星の視赤緯」 "Mars' Apparent Declination" A NISHTA で、2001年9月から2002年4月末までの火星の視赤緯のグラフと毎日の視赤緯の値(00:00TT)が示された。赤道儀の赤緯目盛りをこの値に合わせれば、薄明時にファインダーに導入するのに活用できる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0113/13j.html
「アンタレス研究所訪問」は九回目となり、常間地(Ts)さんによる「真夏の太陽」である。御自身の太陽黒点観測の体験と変遷を語られている。今回の沖縄遠征では比嘉保信氏提供の中型の屈折望遠鏡で、酷暑の中昼間の黒点観測も愉しまれたようである。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Ant009.htm
また、 Director's Reportsの#07が CMO Noticeとしてコラム記事になっている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/ds2001/ds/d_repo.html
TYA#072 はCMO#108 (25August1991)の紹介である。20年前の火星は11月の「合」に向かって太陽との離角を縮めていた。追加の観測報告もなく、観測の纏めに入っていて、1990 OAA Mars Section Note の掲載が始まった。第一回は、「340°Ls〜360°Lsに於けるHellas南西の朝方の雲塊」だった。また、1988 CMO観測ノート(15)として、「10月初めのThaumasia Foelix 上の朝霧について」も掲載されている。
夜毎餘言 XXII は「處変われば Topsy-turvy」 で、様々な対比の例を引いて、文化の多様性を自分たちの視点に固定せずに理解しようと説いている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/250/tya072.html
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn1/Zure2.htm 夜毎餘言 XXII
村上 昌己 (Mk)
日本語版ファサードに戻る / 『火星通信』シリーズ3 の頁に戻る