Ten Years Ago (191)

 

---- CMO #245 (10 June 2001) pp3007~3022  ----

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Cmo245/index.htm

 


の号では先ず始めに「第九回CMO惑星観測者懇談会」が七月に沖縄で開催されることがアナウンスされている。20日〜22日の日程で、昼間は会合、夜は接近中の火星観測を主体に「CMO夏の学校」として、沖縄の同人の望遠鏡を使用させて貰いシーイングの安定した大きな火星像を観測する計画となった。

 

 観測レポートは九回目となり、五月後半の 16May2001 (λ=162°Ls) から31May2001 (λ=170°Ls)の観測が取りあげられている。この期間に視直径δ16.8"から19.1"に十分大きくなった。中央緯度φ1.4°Sから、わずかに南に傾いている状態から、月末には0.5°Nと北向きに変化した。

 報告者は、国内10名・外国9名で、それぞれ184点と43点の報告である。沖縄はすでに梅雨入りしているが、晴れ間を逃さない観測がもたらされている。本土でも森田氏のωをそろえた連続観測の活躍があった。

 

 南半球の春分前のこの期間、南極雲/南極冠の動静に注意が払われている。日本からの25Mayの観測ではΩ=250°W前後の観測で、ω=190°W付近では、かなり明るい南極域の輝部が次第に夕方に廻っていき、ω=260°Wころになると朝方から出てきた明るさの鈍い部分が大半を占めて、アウソニアとその南の部分に明るさが残るだけとなるという様子が記録された。ヘッラス周辺の観察では、17May頃からの各氏の画像に南極域からヘッラスに向かい吹き出した明るさが明確で、南にも延び南極部の明部も分断されている。これは南極冠縁で黄塵が発生して南極冠からヘッラスにかけて降着したものでないかとしている。上記の南極域朝方の明るさの鈍さの原因でもないだろうかと考え、後の解析を計画している。その他、アルギュレ南方では明るい南極域が捉えられていること、エリシウムは地肌が見えて明るく、午後にはモンス・山岳雲も見えている事などが記録されている。海外からの観測では、ドン・パーカー氏とエド・グラフトン氏の観測が取りあげられている。タルシス・モンテス、オリュムプス・モンスの夕方の山岳雲がまだ強いこと、IR光画像とB光画像では南極域のとらえ方が違い南極域の見極めに参考になるなどの事を取りあげている。

 速報として、CMO#242で取りあげたエドムでの閃光現象の観測に、7June, 8Juneと二晩にわたり成功した、フロリダ、キースでのパーカー氏・ドッピンズ氏達のチームからの報告が取りあげられている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/01Repo09/index.htm  (English)

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/01Repo09j/index.htm

CMO#242, FORTHCOMING 2001 MARS (10)、「火星面がピカるとき」 "The sub-Earth point=sub-Solar point"

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0110/10.html  (English)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0110/10j.html

 

LtEは、外国からはMyron E WASIUTA (VA, USA), André NIKOLAI (Germany), Ed GRAFTON (TX, USA), Don PARKER (FL, USA), Frank J MELILLO (NY, USA), Nélson FALSARELLA (Brasil), Nicolas BIVER (France), Rick FIENBERG (USA, S&T), David GRAHAM (UK), Maurizio di SCIULLO (FL, USA), Tom DOBBINS (OH, USA),  Tim PARKER (USA, NASA),  Sam WHITBY (VA, USA), Don R BATES, Jr (TX, USA), C Martin GASKELL (NE, USA) 。国内からは、森田行雄(広島)、熊森照明(大阪)、阿久津富夫(栃木)、比嘉保信(沖縄)、伊舎堂弘(沖縄)の各氏から寄せられたものが掲載されている。

 PARKER氏からのものは、フロリダ、キースでの、エドムにおけるピカリ現象の確認観測を伝える速報である。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/letter/dpk/dpk_alert.html (English)

  他にRick FIENBERG, Tom DOBBINS, Frank J MELILLO, Martin GASKELLからの通信もエドムの現象に関してのものであった。伊舎堂氏からは懇談会関係の連絡が含まれている。

 

コラム記事にはTom DOBBINSから提供のあった、Sky & Telescope誌五月号のピカリ現象を取り扱った記事 "The Martian-Flares Mystery"の最終稿では割愛されたため、残りの部分、興味ある一節が紹介されている。19世紀には、火星の海とされた暗色模様から、海面の反射光を予想した観測をしたが、確認はされる事はなかったことなどの内容である。

 

常間地ひとみさんの「アンタレス研究所訪問」四回目は、「脳内ウォークマン」と題され、記憶に残された音楽が機械を使わずにも頭の中で甦らせる事が出来る事と同様に、視覚の記憶も存在するはずで、火星観測ではベテラン達は一周期15年前の火星像を甦らせて、毎回の新しい火星像を重ねているのではないかとしている。御自身は初めての大きな火星像を記憶の中に焼き付けている最中の頃であった。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Ant004.htm

 

                                 村上 昌己 (Mk)

 


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