--- CMO #227 (25 January 2000) pp2659~2682 ---

新しい世紀を迎えて、表紙は常間地さんの干支の辰のイラストと賀詞があり、寄せられた年賀の便りが紹介されている。

次いでCMO Mars Report #20で、1999年十二月後半から2000年一月前半までの観測報告が纏められている。火星はこの期間には視直径は5秒角台を下回り、夕方の西空にあった。季節は283°Ls (15 Jan 2000)に達して南半球の夏至を挟んでの黄雲の季節の観測だった。報告者は、国内より9名、外国からは3名の報告があった。南半球に大きく傾いており南極冠と周辺の暗部が捉えられている。大きな異常は観測されていない。

 1998/99 Mars CMO Note (3) は、「1999年四月下旬のバルティア朝の白雲」 "Early-morning white patch witnessed near at Baltia in late-April 1999"で、ハッブル望遠鏡(HST)が27 Apr 1999に捉えた北半球高緯度のサイクロンが、日本国内で観測されていたときの状況が取り上げられている。

 巻頭のGreetingsと年賀には、Audolin DOLLFUS (France), Wolfgang MEYER (Germany), Barry ADCOCK (Australia), 村山定男(東京)、木村精二(東京)、蔡 章獻 (Taiwan)の各氏から寄せられたものがある。
 LtEには、Elisabeth SIEGEL (Denmark), Vanessa CAVE (USA), Sam WHITBY (USA), Frank J MELILLO (USA), Brian COLVILLE (Canada), 頼 武揚 (Taiwan), Gérard TEICHERT (France/Canada), TAN Wei-Leong (Singapore), Giovanni QUARRA (Italy), Damian PEACH (UK), Don PARKER (USA)の外国の皆さんから、国内では、尾代孝哉(和歌山)、熊森照明(大阪)、常間地ひとみ(神奈川)、日岐敏明(長野)、伊舎堂弘(沖縄)、浅田正(福岡)、石橋力(神奈川)、森田行雄(広島)、阿久津富夫(栃木)、小山田博之(神奈川)、岩崎徹(福岡)、比嘉保信(沖縄)の各氏からの多くの来信が紹介されている。

 TYA(53)は、廿年前のCMO#082 (10 Jan 1990)とCMO#083 (25 Jan 1990)の二号の内容からで、当時の火星は合を過ぎて朝方の東天にあったが、まだ観測は始められていない。 CMO#082には、来るべき2000年初秋の中接近の観測を迎える心構えが説かれていた。また、白尾氏などが出席した「国際火星フォーラム」の報告もあった。1988CMO観測ノート(9)として、「10月末の北半球の雲の擾乱について」(On Cloud Disturbances at Tharsis and Amazonis in Late-October (at around 300゚Ls) )が#082にある。CMO#083からは 「1988年の火星観測に使用された望遠鏡」の連載も始まっている。


村上 昌己 (Mk)