♂・・・・・・・今回 16 Oct から 15 Nov 迄の期間中紀録された觀測は次の通りである。
HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 箕輪・長野 Minowa, Nagano, Japan
3 Drawing (7, 15 November 1998) 360×16cm speculum
MINAMI, Masatsugu 南 政 次 (Mn) 福井 Fukui, Japan
64 Drawings (21, 24, 25, 26, 28, 29, 31 October; 1, 3, 5, 12〜15 November 1998) 400×20cm refractor*
MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk) 横浜 Yokohama, Japan
4 Drawings (7, 14, 15 November 1998) 370×15cm speculum
NAKAJIMA, Takashi 中 島 孝 (Nj) 福井 Fukui, Japan
34 Drawings (21, 24, 25, 26, 28, 29 October; 1, 3, 5, 10〜14 November 1998) 340, 400×20cm refractor*
*福井市自然史博物館天文臺 Fukui City Observatory
♂・・・・・・ベルリンのA NIKOLAI (ANk)氏から、多分今季最も早い一枚と思われるCCD像が送られてきた。
NIKOLAI, Andre アンドレ・ニコライ (ANk) ベルリン Berlin, Deutschland
1 CCD Image (1 September 1998) 15cm refraktor am WFS
δ=3.9"、季節は023゚Lsで北極冠が出たところであろうか、大きく明るい。φ=17゚N。
♂・・・・・・福井では十月中旬十日間缺測であった爲に、ソリス・ラクスには出會わなかったが、21 Oct (046゚Ls)にはマレ・アキダリウムが南中し、6:40JSTω=039゚Wでは薄明ながら濃く明確であった。北極冠は對照的に白く明るい。南端ではアルギュレ?が白斑。
24 Oct (048゚Ls)にはシヌス・サバエウスが見え、マレ・アキダリウムが朝という構圖になる。前者は青色系、後者は褐色系である。21:00GMTにはω=000゚Wで、シヌス・メリディアニがマルガリティフェル・シヌスと分離した。ノアキスは鈍いが、クリュセは明るい。
シュルティス・マイヨルの片鱗は 25 Oct に見えている。ヘッラスも明るいようである(048゚Ls)。
28 Oct:シヌス・サバエウスの東部が濃い。北極冠を取り巻く暗帯は太い。
29 Oct (050゚Ls)には好シーイングでシュルティス・マイヨルが南中した。マレ・テュッレヌムやウトピアが濃く、ダークフリンジは北極冠を隈取る。20:50GMTω=309゚Wではヘッラス白く、シュルティス・マイヨルは明確。北極冠はザラッとした感じ。6:30JSTでは更にシーイングが安定した。
31 Oct (051゚Ls):南端は白いが必ずしもヘッラスに一致しない。北極冠は確かに小さくなって來ている。
1 Nov (051゚Ls) 20:50GMTでω=280゚W、マレ・テュッレヌム濃く、シュルティス・マイヨルも明確。
3 Nov (052゚Ls):薄明でシーイング良好。シュルティス・マイヨルが朝方に現れる。ω=260゚Wで北極冠は円く、暗帯とともに明るくクッキリしている。マレ・キムメリウムが見える。マレ・テュッレヌムが濃い。ヘッラスは鈍いが白く、アエリアは黄色味。
5 Nov (053゚Ls):北極冠は明らかに小さくなっており、円い。ウトピア濃く、暗帯は太い。20:50GMTω=241゚Wはシーイング良好だが、朝のシュルティス・マイヨルは不明確。その北の円盤端が靄っている。概して、北極冠の周りの暗帯に比して、南半球の暗色模様は弱い。
7 Nov (054゚Ls)にはHk氏がω=219゚W、227゚Wで觀測、北極冠は白く、明瞭だが、エリュシウムは認められない。4℃。同日7 Nov (054゚Ls)に横浜旭区でMk氏がω=224゚Wで初觀測、北極冠明確、暗帯は夕方が濃い。防寒具はまだいらない由。火星はρLeoの近く。
10、11 Novは弱い冬型であったが、福井ではNj氏は觀測を敢行した。北極冠のみ。
12 Nov (056゚Ls)にはMn歸着、透明度が好く、遠くカノープスが見られたが、高氣壓は南に寄って火星のシーイングは好くない。ω=180゚WでプロポンティスTの邊りから陰が南に奔る。
13 Nov (056゚Ls)ω=140゚Wなどでアルバに注目するが顕著ではない。1995年一月にMk氏他によって、アルバの爆發が觀測されているからだが(#179參照)、今回ははまだ視直徑が十分ではないのであろう。タルシスも然程でない。ω=170゚WではプロポンティスT領域が最も濃く、ケブレニアが細長く靄っているようである。南端は明るい。
14 Nov (057゚Ls):ω=120゚W邊りでアルバは明るいかも知れないという程度。北極冠の暗帯は朝方が明らかに幅廣い。南端の靄は複雜である。ω=141゚Wではダークフリンジは朝方の方ががクッキリしている。ω=160゚W、170゚Wでは、プロポンティスTが分離する勢い。エリュシウムは朝端で黄色味の明るさ。タルシスは然程でない。14 Novω=148゚WにはMk氏の觀測がある。13、14 NovはNj氏が久方の薄明觀測(Nj氏とMnの觀測數の差は、Nj氏が通常5時半で觀測を切り上げるのに對し、筆者は日の出後7:00JSTまで觀測する事もある爲)。
15 Nov (057゚Ls)では矢張り北極冠を取り巻く暗帯は、Ω=130゚W以西で急に太くなることを確認。それと重なって北極冠の縁取り(ダークフリンジ)は濃い細線。南半球ではマレ・シレヌムが瞥見できるが、その南の円盤端に白斑がある。これは一ヶ月前にも見たような氣がする。同日にはω=136゚WでHk氏、ω=139゚W、148゚WでMk氏の觀測。北極冠中心。尚、今回の季節は Feb 1995 や Dec 1996 に遭遇しているので、北極冠や南端の靄について比較する必要がある。
♂・・・・・13 Novには火星に月が接近し、處によっては掩蔽であったが、福井では確認しなかった。筆者は前日カノープスの航跡を撮影していたこともあって、寝不足で、最初から諦め、目覚ましを火星の觀測時刻に合わせた。目覚まし前、3時半頃雲間から火星が出ていることでNj氏に起こされた。最近は齢の所爲か觀測時刻まで仮眠することが多い。Mk氏も同日細い月だけを見ている様である。
♂・・・・・・次号では16 Novから15 Decまでの報告を扱う。