♂・・・・・・・・愈々火星が東天に戻ってきた。1996/97年シーズンの始まりである。視直 径δは15 Septで4.6秒角にしか過ぎないが、視赤緯が+20゚もあり、朝方直ぐ天高くな るので、觀測對象としては悪くない。それに、気温も頃合いである。中島孝(Nj)氏と 筆者は7 Septに福井市自然史博物館天文臺で初觀測を済ませたが、 奇しくも同日、日 岐敏明(Hk)氏が觀測に入った。既にシュムーダ(RSc)氏からは八月の觀測が届いてい る。
♂・・・・・・・・15 Septで季節は009゚Lsまで進んでいる。中央緯度はφ=16゚Nである。1 Octではそれぞれ017゚Ls、19゚Nに進捗する。視直径はそれほど上がらない(4.8秒角)。
♂・・・・・・・・15 Sept迄の觀測報告は次の通りである。
♂・・・・・・・・・・シュムード(RSc)氏は初めと終わりを押さえるのが流儀らしいが、一ヶ
月も跳ばさなかったのは幸いである。14 Augで355゚Lsであった。ω=005゚W邊りの觀測
だが模様は殆ど何もなく、北極雲は黄色では見えるらしいが、赤色では見えないらし
い。スケッチの上からは大きさは大きくない。南極冠が見えるとあるが、ご冗談でしょ
う。
6 Septの觀測はω=130゚W邊り。シーイング7/10。北極冠が明確としている。005゚
Lsであって、頃合いかと思うが、大きさなどを数値で出す程の視直径ではない。これ
もこの方の悪い流儀である。スケッチに比べて、メモは實に細かい。
7 Sept(006゚Ls)の福井からの觀測は、ω=244゚Wから三十度程である。シュルティ
ス・マイヨルが顔を出してきている状態で、ウトピアからギュンデスに掛けて北極雲
の外側が濃く見える。北極雲は白いが明るくはない。シュルティス・マイヨルは日岐
(Hk)氏がω=268゚Wで明確にマレ・テュッレヌムと共に捉えている。北極雲はHk氏も注
目しているが、リムの明るさと区別が付かなかった由。(Hk氏は十月上旬まで超多忙のよ
うだが、故郷でのこれからの觀測を期待したい。)
10 Sept(007゚Ls)でも北極雲は時々明るく見えるが明確ではない。ただ、大きくは
見えず、ギュンデス邊りが濃いのが目立つ。この視直径ではシュルティス・マイヨル
も視相によっては見辛いが、マレ・キムメリウムは確認できる。南端は明るい。夕端
も靄っているが、形状云々は難しい。
♂・・・・・・・・・・この欄は暫く16日から翌月15日迄の一ヶ月間の觀測をレヴューします。
報告締め切りは從って、15日です。18日頃到着をメドに三國宛にお送りいただきたい。
問題は情報の遣り取りが速くなっていることで、ここでは扱い切れないことがあるこ
とです。
例えば、LtEにあるように、Jim BELL氏からe-mailで18 Septの予報が一週間
前に入ったわけですが(私は早速にMk氏から電話連絡を大津で受けました)、これはMk
氏からFAXなどで主な觀測者には連絡されたものの、十分ではありませんでした。早急
に文書連絡網を作る必要がありそうです。e-mailやFAXをお持ちの方は早めにMk氏に
お申し出いただきたいわけですが、その他何か名案をお持ちの方はお聞かせ下さい。
♂・・・・・・・・・・序でに、十月のHSTの計画では、6〜10 Octの何れかに行われるわけ
で(これが出る前に決定される可能性が高い)、村上昌己(Mk)氏が予め次のように計
算しました。
Oct. ω= 045゚ 165゚ 285゚
6 (23:30) 07:45 16:00 (GMT)
7 00:10 08:25 16:40
8 00:50 09:05 17:20
9 01:30 09:45 18:00
10 02:10 10:25 18:40
11 02:50 12:05 19:20
つまり日本からは、ω=285゚Wがもし後半なら同調できるわけです。ω=045゚Wは中近東
から東欧、ω=165゚Wは美國東部から中部、というのもMk氏の計算です。 現地の午前4時
を基準にしています。HSTとの同時觀測はこれから何度も試みられるでしょうが、ω
が揃って居れば、日が違っても意味があるはずです。