今年も「しし座流星群」の季節がやってきた。今年は月の条件も、極大時太陽黄経も極東で最良で多くの出現を期待できる、後は天候次第である。大出現が予想されているが如何であろうか? 約33年ごとに大出現を見せるので著名な流星群であるが、前回見たときのことをまだ鮮明に記憶している。タイマーが「正」の字を書いて後で数えるほどの出現で、一晩で数百は見たことと思う。薄明も始まって明るくなった空にも流星がチラリホラリと飛んでいたのが印象的だった。左の写真は当時の観測場所だった奥多摩の大岳山頂から見た都心方面の夜景。33年前のしし座流星群観測時に撮影したものである。
十一月の火星の出は午前二時台になり、日の出までの観測時間も四時間から五時間へと伸びていく。しかし「しし座」から「おとめ座」へと順行を続け、赤緯が下がって行く分だけ地平高度は上がらない。
視直径は十一月下旬には五秒角を越えて大きくなってくる。火星面も上旬にはElysium付近の経度から、中旬にはOlympus Mons付近、下旬にはM Acidalium付近へと進む。Lsは51゚から64゚と変化して北半球の初夏になる。火星面中央緯度も25゚Nと最大になり、融解の始まった北極冠が此方を向いている。北極冠を観測出来る好期である。
他の惑星達は、木星が中旬に「留」になり順行へと移る。まだ宵の観測の好期は続く。土星も「衝」を過ぎたばかりで観測の好期にある。水星は11日に「東方最大離角」となり、夕空に見ることが出来るが高度は低い。金星は十月末に「外合」を過ぎたばかりで、夕方の空に回ったが観測は日中に限られる。
天王星・海王星も夕空にいるので上旬から中旬にかけては一日で七惑星を見ることが可能な時期である。木星・土星・火星と追いかけるだけでも一晩中の観測になってしまう。
十一月14日未明には火星食が起きる。観測出来るのは日本では暗縁からの出現だけであり、月の出直後の現象で条件は悪い。月齢は24。金沢・小田原を結ぶ線の以西では食は見ることは出来ない。