LAI #206

Letters to the Editor


from Wu Yang LAI in CMO #206

●・・・・・・・『火星通信』は毎号確実に着いています。ありがとうございます。台湾で日本語のパソコンを使うのはちょっと不便ですが、どうにかやっています。パソコンをいじり始めてほぼ一年、今でもわからぬことだらけです。それにしても、おもしろいおもちゃを手に入れたという気持ちです。Windows98の日本語版はまだ台湾に入荷していません。台湾のT-ZONEで近いうちに売り出されることになっていますが、アップグレードに失敗することがあるという警告をたくさんインターネットで読みましたから、あわてずに当分は形勢観望することにします。
 『朝日新聞』の記事にある俳句の先生黄霊芝氏は私の親しい友人で、四十年のつきあいです。たしか昭和3年生まれ、若いときは日本語の小説も書きましたが、日本の風土性を持たない日本語小説では、読者が付かないことに気がついて、やめてしまいました。邱永漢氏もおそらくは同じ理由で小説家を三十台でやめて、経済評論家に転向し、陳舜臣氏は中国歴史に取材するという道をみつけました。黄霊芝氏主宰の俳句會には台湾在留の日本人の会員も参加しています。霊芝というのはペンネームで、本名は漢学の素養の深い父君がつけた立派なものですが、黄氏は嫌っているようです。
 黄氏には中国の古代文化を日本語で紹介解説した文章や、台湾に居住する中国人学者の考古学、古代美術に関する論文を日本語に翻訳したものがたくさんあります。たとえば故宮博物館の『文物光華』は、多数の中国人学者の執筆ですが、その日本語版の翻訳は大部分黄氏がやりとげました。私も黄氏にたのまれて、たった一篇だけを翻訳しました。第3巻(1993年)に「華夏文化と世界文化の関係」簡松村著、頼武揚訳が出ています。非常に豪華な本で、値段も高いだろうと思いますが、当時朝日新聞社が1500セット買ったという話しです。翻訳できる人は若い学生にいくらでも居るだろうから、彼らのアルバイトを横取りするのもどうかと思って、私は一篇だけで手を引いたのですが、あとでわかったことは、役に立つ翻訳者がみつからなくて黄氏は大困りだったのです。筆談のため黄氏の懇願に気がつかず、すまないことをしたと悔やんでいます。
 廿一世紀がもうすぐですが、世界が廿一世紀到来のお祝いをするのは2001年一月1日だろうか、それとも2000年一月1日だろうかと、興味を持っています。理論上では2001年のはずで、紀元に0年がなく、1年から始まるからそうなるのですが、法律上の規則ではないのだから、2000年だと思う人が絶対多数だったら、正論が無視されることになります。ナポレオンが「力は正義に勝つ」といったそうですが、今は「絶対多数は正論に勝つ」時代です。

 この手紙はためしにe-mailで送ってみます。パソコンのメモ帳に原稿を書き上げましたが、さてこれからどうやったらいいのかな。

敬具  

  追伸:念のため、私のe-mailアドレスは、laiwy@tpts5.seed.net.tw です。私の名前を北京語音で書くと、Lai Wu Yang になりますが、武の字をWuと書くのが気に入らないのです。台湾語でも日本語でも武は「ぶ」です。

(7八1998 email)

○・・・・・・・ 拝復、早速ご返事をくださって、ありがとうございます。
 私のパソコンは日本語版Windows95をインストールしているだけで、そのほかには何の仕掛けもありません。南さんからのご返事はそのまま何の操作もせずに、日本語で出てきました。私は何もわからずに、とにかくやってみただけです。もうひとつ、日本語版Word97をインストールしてありましたが、これは最近98にアップグレードしました。
 このメールは、南さんからのe-mailを雛形にしました。南さんに差し上げたメールは、私のテスト第三号、第四号です。第一号は台北のT-ZONEへWindows98日本語版がいつ来るかと、日本語で問い合わせたところ、すぐに日本人職員から日本語のメールで返事が着ました。台北にはT-ZONEがすでに六店もあり、高雄にも一店ありますが、並べてある商品はほとんど中国語用のハード、ソフトで、隅っこに日本語版のソフトがすこし並んでいるだけです。職員も大部分中国人(台湾人)で、日本語が全然通じない職員が多数です。・・・・
   日本人は自分が国家の第一公民でないという経験を、占領下の八年しか体験していなくて、その記憶がはやくも風化してしまったようです。日本人よ、国を粗末にしてはいけません。

  以上は八月7日の真夜中すぎに書き、さっそく発信操作を試みましたが、京都のアドレスをCcに加える書き場所がまちがっていたので、送信に失敗しました。これからまたやりなおします。
  私はインターネットをNavigatorでやっています。半年ほど前に無料でdownloadしました。最新版でなく半年前のものです。文字化けしないのはこのソフトのおかげかもしれません。ではこれからまた汗だくで送信をやってみます。

(8八1998 email)

○・・・・・・京都からの日本語、英語のメールがきれいに着きました。化け字はありません。・・・・
 「熊谷草、敦盛草」も無事に着きました。・・・平家物語の初めに出てくる沙羅双樹はチークだったのですか。今までは空想上の植物かと思ってていました。
 私は昨日(日曜日)失敗によるやりなおしを含めて、まる一日かけてNavigator4.05 日本語版をダウンロードし、セットアップしました。今まで使っていたのはたぶんヴァージョン3だろうと思いますが英語版でした。これで最新ヴァージョンになったけれども、どこに長所があるのかまだわかりません。・・・・・
 私は今日(月曜)午後用事で台北市内へ行き、夕方 疲れて帰ってきました。ソファで居眠りしてしまい、夜遅く目を覚ましてから、南さんのメールをみつけました。今晩はこれだけにしておきます。

(11八1998 email)

○・・・・・・臺北天文館のインターネットが文字化けで読めないとのことですが、Netscape Navigaterを使い、メニューの「表示」をクリック、「文字コードセット」をクリック、中国語(big5)を選択すると、化け字が漢字にもどります。大体はこれで台湾のインターネットが読めますが、原文の漢字のうち、日本語版Windows95に用意されていないものは、丸点になります。

(18八1998 email)

頼 武 揚 (Wu Yang LAI 臺灣 Taiwan)    email: laiwy@tpts5.seed.net.tw