CCD の量子効率の話が載っていましたので、最近のCCD体験談を投稿いたします。
私は数年前にSiteの512×512裏面照射型CCD (SI-502AB)を購入しましたが、GRADE-1だったので裏面研磨が終わって完成したCCD数個の中から希望選択することが可能でした。
CCDのデータで重要なのは
* read noise、
* ccd gain、
* full well、
* 暗電流ノイズ、
* 量子効率(各波長毎)
の各データです。
これらは個体差が大きく、同じSI-502ABでも、大きな開きがあります。ピーク波長の量子効率は75〜95パーセントまで開きがあります。暗電流ノイズの開きは20〜253 e/pixel/sec.に及びます。
GRADE-1でもこのような非常にばらつきのある現状ですから、APOGEE社のグレード3程度の物はその価格を考えればいたしかたないように思いますが、大変怖い気がします。またグレード2以下では希望選択ができない現状ですから、どのような個体データの物が手にはいるのかは分かりません。ですから、平均値の量子効率グラフを鵜呑みにするのは危険かと思います。当然裏面照射やコダックのEチップの場合、その感度に魅力があるわけですが、量子効率だけでは実質の効果を把握できないのも事実です。当然ゲインやノイズ関連も最終画像--データ--に大きく影響を与えます。
また、Site社のCCD購入に注意していただきたい点として、ボンディングワイヤー(CCD素子と周りの接続体を結線している細い導線)が非常に長く露出している点があります。これは物理的にも大変デリケートな物なので振動やCCD室内のリークに細心の注意が必要です。私は、窒素ガスのリークに気がつかず、結露によって破損させてしまい。高価な裏面CCDをだめにした苦い経験があります。裏面照射にとって結露は大変怖く、裏面照射の命でもあるCCDの表面コーティングも変質させてしまいます。Siteの裏面は素子が露出している点も取り扱いを特殊にしています。なにがあっても個人での分解や表面の清掃はさけなければなりません。
その後私はKodakのフロントEチップに変えましたが、裏面照射と遜色ない能力に驚いています。Kodak KAF1001E 1K×1K 24micronは、Gread-1でBITRANのアッセンブルで購入しました。BITRANの新しいシリーズBT-200は、ドライブが1MHzなので驚異的に高速です。USB 仕様でも1K×1Kが数秒で絵がでますから大面積も相まって対称導入やフォーカス時のストレスは感じません。
ここで、みなさんも一度は悩んだと思いますがCCD画素サイズと光学系(明るさと拡大率)、CCD受光サイズの問題が一段と大きくのしかかってきます。両極端な例では、
* 汎用のST-7など低感度素子 9ミクロン 高密度小面積 光学系は明るさを稼げる。
* Site、Kodakの大画素高感度素子 24ミクロン 低密度大面積 拡大率を上げるので光学系は暗い。
私は、未だに決着が付きません。ただ、BITRAN+KAF1001Eの組み合わせのように、2.4センチ角もの面積で高速転送で画像がとれると、操作性の面でなににも代え難いアドバンテージを感じます。大面積では、光路切り替えアダプター無しでも惑星を導入するストレスもほとんどなくなるでしょう。PCIボード転送ではさらに高速になります。CCD の目的は、ほとんどが微光天体なのですが、来年は久しぶりに惑星への復帰を夢見ています。デジタルビデオ関連も含めておもしろい手法を物色しています。