Ten Years Ago (202)
---- CMO #257 (25 February 2002) pp3251~3274 ----
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/cmo257/index.htm
観測レポートは20回目となり、一月後半と二月前半の報告がまとめられている。火星は夕方の南西の空「うお座」にあり、観測終盤で視直径δは5秒角台に小さくなっていた。傾きφは南へ最大になった後24°Sまで戻ったが、まだ大きく南を向いていた。季節λは310°Lsから327°Lsへ進み南半球の秋となったが、小さくなった南極冠はまだ認められていた。一昔前には南極冠消失の時期とされていた頃であるという。
観測は夕方に限られ詳細は捉えられなくなっていたが、報告者は国内からは6名56点、外国からは4名14点であった。アメリカの観測ではパーカー氏(DPk)の活躍があり、マレ・キムメリウムからソリス・ラクス領域までがカバーされている。日本では全国的に天候は優れなかったが、晴天のチャンスには福井では南氏(Mn)が午後の白昼から観測を遂行されている。熊森氏(Km)の60cmも暗色模様を写し出した。この期間に我が国からは、シヌス・サバエウス領域からヘッラス、シュルティス・マイヨル、マレ・キムメリウム領域が見られ、期間末にはソリス・ラクスが視野に入ってきた。ヨーロッパからはピーチ氏(DPc)の1観測だけであった。
追加報告ではマーシャル諸島のケント・ド・グロッフ氏(KGr)より黄雲発生前後のMay~July 2001のデジカメ画像が43点と多数寄せられている。
次いで2001 Mars CMO Note (3)があり、タイトルは"Dust Streaks at the Area of Solis L on 6 July
2001 (Day 13)" 「ソリス・ラクス領域の黄塵の筋」 と題されている。
黄雲発生13日目の6 July 2001にソリス・ラクス領域に発生した二筋の明瞭な黄塵に関して、発生から10月末までの状況が描写されている。この地域でのよく似た黄塵の筋は、季節λは異なるもののMn氏が1973年に観測をされていて、当時のスケッチが引用されている。この稿では状況の描写に留めて、特徴的な砂塵の位置や方向などは今後の考察課題とするとしている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/01Note03j/index.htm
和文
また、Forthcoming 201 Mars(15)として、 西田昭徳氏による「2001/2年の火星観測暦表(その7)」 "Ephemeris for the 2001 Mars. VII " があり、2002年3月から4月末までの暦が掲載されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/coming2001/0115/15j.html
和文
LtEには、Frank J MELILLO (NY, the USA), Dave MOORE (AZ, the USA), Jim BELL (NY, the USA), Don PARKER (FL, the
USA), Brian COLVILLE (Canada), Clay
SHERROD (AR, the USA), Ed GRAFTON (TX, the USA), Bill SHEEHAN (MN, the
USA), Kent DeGROFF (Marshall Islands) の外国勢と、阿久津富夫(栃木)、伊舎堂弘(沖縄)、佐藤健(広島)、堀川邦明(神奈川)の国内からの来信が掲載されている。筆者からのe-mailも藤沢便りとしてまとめられている。
コラム記事には、佐藤健氏による「大沢俊彦氏を悼む」が前号の長谷川一郎氏の追悼文に続いて掲載された。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/256Osawa.htm
他に、常間地さんの「アンタレス研究所訪問」16回目は「夜行貝の不思議」で、螺鈿細工と夜行貝の話である。夜行貝は学名Lunnatia marmorata といい月の光を連想させたものかとしている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Ant016.htm
TYA#078 はCMO#114 (25 Feb 1992)の紹介で、巻頭には1990年の観測ノート(4)として、「1990年の南極冠の終局状況の観察」 "The SPC at the Final Stage in 1990" が掲載された。"An Approach to CMO Japanese"は連載二回目となった。20年前の火星は朝方の空の「やぎ座」にあり、離角、視直径ともに小さく観測開始には到っていなかった。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/TYA78.htm
巻末にはMn氏の筆の「時時間間」があり、タイトルは「きらびやかな属性」とした、美国批判である。
村上 昌己 (Mk)
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