CMO/ISMO 2020 観測レポート#01
2020年一月末までの火星観測報告
(λ=129°Ls ~λ=144°Ls)
村上 昌己
CMO
#490 (
♂・・・・・・ 今期初めてのレポートでは、『火星通信』に報告のあった一月末までの観測を取り上げる。
火星は年初には、「さそり座」に近い「てんびん座」にあって、早朝の南西の空低く光っていた。
視赤緯は19°Sと低く、北半球からは良い条件ではなかった。視直径もまだ4.3秒角と小さかった。画像の入信は11月よりあったが、まだ観測と思える画像ではなく、ルーチン観測の開始は年末になってからのことであった、早期の画像は、ギャラリーでご覧いただきたい。
一月中には季節 (λ) は、129°Lsから144°Lsと刻んで、北半球の盛夏となっていて、北極冠の融解も進み北極域周辺に活動が見られる季節になっていた。傾き(φ)は11°Nから02°N台と北半球が見えているが、火星像は正面を向いて北極域は見え難くなってきた。視直径(δ)は4.3"から4.8"と僅かに増加しただけであった。位相角(ι)は24°台から30°と欠けは大きくなっていった。
♂・・・・・・ 一月には報告数は少なく、詳細を捉えることはできなかったが、大きな擾乱は見られなかった。南極域には南極雲が掛かっていた。ヘッラスは very active な時期で朝縁から夕縁まで白く明るく見えている時期であった。今後はだんだん明るさを落としていく。山岳雲の活動も活発になっている時期で、観測数は少ないが認められている。赤道帯霧も活発になり、朝夕の辺縁では目立つようになっている。
フォスター氏は晴れ間を狙ってルーチン撮影を続けている。日本では一月には記録的な曇天傾向で観測数は延びなかったが、熊森氏のルーチン活動も始まっている。ウエズレイ氏のオーストラリアでは山火事が頻発して大きな被害が出ている。南部での影響が大きくメルボルンのメンバーの様子が心配である。煙は南米大陸に達しているという。
♂・・・・・・『火星通信』に寄せられた一月中の観測は、以下のようである。日本からは、熊森氏から11観測。森田氏から1観測、尾崎氏から2観測の報告があり、国外からは、南アフリカから1名9観測、オーストラリアからは 1名から4観測の、合計5名からの26観測であった。
クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ
FOSTER,
Clyde (CFs) Centurion,
9 Sets of RGB
+ 8 IR Images (6, 15,~17, 23, 26, 27, 29, 31 January 2020)
36cm SCT @ f/27 with an ASI 290MM
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2020/index_CFs.html
熊森 照明 (Km) 堺市、大阪府
KUMAMORI,
Teruaki (Km) Sakai, Osaka, JAPAN
5 Colour*
+ 7 IR Images (1, 4, 5, 9, 13, 18, 29 January 2020)
36cm SCT @ f/37 with an ASI 290MM & ASI 224MC*
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2020/index_Km.html
森田 行雄 (Mo) 廿日市市、広島県
MORITA,
Yukio (Mo) Hatsuka-ichi,
1 Set of LRGB
Images (1 January 2020) 36cm SCT with an ASI 290MM
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2020/index_Mo.html
尾崎 公一 (Oz) 稲沢市、愛知県
OZAKI,
Kimikazu (Oz) Inazawa,
2
Colour images (10
January 2020) 44cm Spec with an ASI
290MC
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2020/index_Oz.html
アンソニー・ウエズレイ (AWs) クイーンズランド、オーストラリア
WESLEY,
Anthony (AWs)
3 Colour + 2
IR Images (10, 18, 30, 31
January 2020) (51cm Spec)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2020/index_AWs.html
♂・・・・・・ MRO MARCI の破れ提灯画像は、昨年9月の「合」の後では、ウエッブページの更新が見られず、最近の様子は判らない。
http://www.msss.com/msss_images/subject/weather_reports.html