Ten Years Ago (223)
---- CMO #282 (
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/cmo282/index.htm
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/cmo283/index.htm
今 |
回もWeb版のCMO#282とCMO#283の内容を取り上げる。印刷版は発行されていないので、上記のリンクからの閲覧をお勧めする。
CMO#282には2003 Great Mars CMO Report (17)が、十月後半の観測報告をまとめている。この期間に季節はλ=280°Lsからλ=290°Lsに進んだ。視直径はδ=17.8"から十月末にはδ=15.1"と小さくなった。傾きはφ=22°Sから24°Sと南に大きく傾いて夏至すぎの南極冠が小さくなって眺められた。位相角はι=33°から38°となり、朝方の欠けが大きくなった。
観測報告者は33名から25名に減ったが307観測が寄せられた。日本からは8名226観測と増えている。アメリカからは7名40観測、半分はパーカー氏からの報告であった。ヨーロッパからは7名33観測で、ピーチ氏とペリエ氏の観測が大半を占める。オセアニアからは3名8観測が内訳である。
レポートには、まず南氏の16Oct(λ=281°Ls)~20Oct(λ=283°Ls)の連続観測で、ソリス・ラクスの朝方からヘッラスの夕没までの範囲で観測した火星面の様子が記されている。強まっている朝霧、ワインカラーの領域、夏至後の融解の進んだ南極冠周辺、夕方のヘッラス、マレ・アキダリウムと北極雲の様子などが記述されている。
次いで、以下のような小見出しでそれぞれの注目点が詳説されている。「アマゾニスの朝霧」ではキャノン・劉(CLa)現象の追跡、 「ヘッラスの朝霧」ではアメリカ側の報告から、「ソリス・ラクスの朝霧」では日本からの報告、「ワイン色の領域」、「南極冠の周り」など、「南極冠の分裂」では、パーカー氏の観測から、1894年のE E バーナードのスケッチも引用されている、「マレ・セルペンティスの様子」では、森田(Mo)氏が25Octにω=328°Wで撮った画像を以前の画像と並べて取り上げて、七月初めの黄塵の擾乱によって濃化・拡大している状況を比較している。
文末にある「消息」では、コヴォッリク(SKw)さんの観測終了、森田氏の復帰、熊森氏や筆者の観測動向が伝えられている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/282OAAj/index.htm
CMO#282のLtEでは25 October~9 November 2003 の来信がまとめられている。外国からはEd GRAFTON (TX, the
USA), Silvia KOWOLLIK (Germany), Eric NG (呉 偉堅, Hon Kong), Don PARKER (FL, the USA), Damian
PEACH (the UK), Christophe PELLIER (France), Bill SHEEHAN (MN, the USA),
Elisabeth SIEGEL (Denmark), Maurice VALIMBERTI (Australia), John WARELL (LPL,
AZ, the USA)の10名の方々から、国内からは、阿久津富夫(栃木)、浅田 正(福岡)、堀川邦昭(神奈川)、伊東昌市(東京)、岩崎 徹(北九州)、熊森照明(大阪)、宮崎勲(沖縄)、森田行雄(広島)、長 兼弘 (石川)、梅田美由紀(福井市自然史博物館)の10名の各氏から寄せられている。
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CMO#283には、2003年十一月前半の観測が2003 Great Mars CMO
Report (18)としてまとめられている。季節は λ=290°Ls(1
November) からλ=299°Ls(15
November ) と進み、視直径δは15.0"から12.9"に減少した。中央緯度φは24°Sから25°Sとなり南半球が大きくこちらを向いている。位相角ιは38°から41°に増えて欠けは大きくなっていた。
観測報告者は23名から202観測と前回よりやや減っている。日本から9名154観測と大半で、アメリカからは6名22観測、ヨーロッパからは6名16観測、オセアニアからは2名10観測で、パーカー氏なども観測数が減っている。
レポートには今回も注目点に小見出しを付けて紹介しているが、この期間のハイライトは「アウソニア-ヘッラスの朝のオーロラ的凸現象」である。2003年十一月4日 (λ=292°Ls)に南氏が眼視観測で認めて、7日に再現の観測があり、8日には確認観測で沖縄の宮崎勲(My)氏が撮影に成功していて、詳しい経過が辿られている。太陽のX線フレア現象やCME(Coronal Mass
Ejection)現象と関連があるのではないかと、直前に起きた規模の大きかったX線フレア現象に関して資料を示している。同じような地点で同様の現象が2012年にも捉えられていることは記憶にあたらしい。
他には、「朝霧」「劉現象」「ワインカラーの暗色模様」「リムの描写」「アルシア」「南極冠周辺」「北極域」と見出しを分けて詳しい解説がある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/283OAAj/index.htm
CMO#283のLtEには十一月10日から十一月24日の期間の来信がまとめられている。
国外からは、Roland CHAVEZ (GA,
the USA), Konrad DENNERL (Germany), Mario FRASSATI (Italy), Ed GRAFTON, Silvia
KOWOLLIK , Richard McKIM (Peterborough, the UK), Don PARKER, Christophe
PELLIER, Bill SHEEHAN, Richard SCHMUDE (GA, the USA), Clay SHERROD (AR, the
USA), Randy TATUM (VA, the USA), Maurice VALIMBERTI, †Erwin Van der VELDEN (Australia), Johan WARELL の15名。
国内からは、阿久津、浅田、平岡 厚(東京)、岩崎、熊森、宮崎、長、森田の各氏8名からのお便りがあった。日本ローエル協会の平岡氏からのお便りは、2004年に計画されている「火星・ローヱル会議日程」の試案に対する賛同のお返事である。
Ten Years Ago (99)は、CMO #139 (25 November 1993)が南氏により英文で記述されている。巻頭の数ページはBAAジャーナル(JBAA 103 (1993)
164-170 (Part I) and ibid 219-227 (Part II). )の、マッキム(RMk)氏による火星観測の先達E M アントニアジ氏に関する論文の内容の紹介である。
続くCMO 1992/93 Note (12)では、「1992/93年期の北極冠の縮小傾向」と題して、南氏のこの期間の観測を元に、縮小の様子がλ=348°Lsからλ=058°Lsの範囲でまとめられている。Lsに対応した縮小グラフの他に、スパイラル図も多数示されている。
LtEには森田(Mo)氏の自宅のドームと望遠鏡の紹介画像がある。巻末の南氏の夜毎餘言XLは「詩人M氏」で下記のURLから再読できる。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/Zure18.htm
三国に一時在住したというM氏とはどなたであろうか? 上記URLの続編に答えがある。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn0/283tya99.htm
村上 昌己 (Mk)
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