Ten Years Ago (218)
---- CMO #273 (
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn3/cmo273/index.htm
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集の南政次(Mn)氏が、後述のように六月23日には大接近時の火星観測のため沖縄へ向かわれ、観測そのほかに忙殺されて、その後も2004年のローヱル会議の準備や整理などで多忙が続いたため、紙面による発行を今号から中止、WebPage版だけに移行した。したがって、今号から以後しばらくWebPage版のレビューとなる。ただし、このCMO#273も編集・アップロードされたのは、一年おくれの15 June 2004となっている。シリーズ2として印刷版が再開されたのはCMO#300 (25 December
2004)からであった。
CMO#273ではReportとLtE、TYAの三つの記事が扱われている。2003 Great Mars CMO
Reportは8回目で、2003年五月下旬と六月上旬の報告がまとめられている。報告全文は、
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn3/273OAAj/index.htm
を見られたい。視直径は10秒角を上回り充分な大きさとなり、報告者は増加して34名(314観測)を数えた。内訳は、国内から12名(157観測)、ヨーロッパ8名(42観測)、アメリカ8名(82観測)、香港・シンガポール・オーストラリアから6名(33観測)であった。
この期間に火星は「やぎ座」から「みずがめ座」へ移り、視赤緯が回復して、明け方には南中近くまで昇るようになっていた。季節はλ=186°Lsからλ=204°Lsに進み、2001年に大黄雲が発生した時期(λ=185°Ls)をすぎて黄雲発生の季節となっていた。視直径はδ=10.7"から14.2"と大きくなり、傾きはφ=19°Sから21°Sと南向きに大きく、南極冠の観測に適していた。位相角はι=41°とややもどったが欠けはまだ大きかった。
沖縄は五月半ばから梅雨入りしていたが、本州でも六月になると次々と南の地方から入梅となった。Mn氏は火星観測のため六月23日から梅雨明けの沖縄へ出かけ、八月末まで滞在した。また、Tom CAVE氏の訃報(4 June)も伝えられた。
位相角が大きく午後面中心の観測であった。南極冠には内部の翳りの詳細が見え始め、周辺部には輝きが見られ、フリンジが濃くなり周辺のギザギザも捉えられている。季節的に発生期にある黄雲の発生は見られなかったが、局所的な黄塵はソリス・ラクスの後方のシュリア・プラヌムで25 May (λ=189°Ls)に小さいが明るい黄塵が日本から南(Mn)氏・熊森(Km)氏により観測された。追跡を各地に依頼したがその後の発展はなかった。後にMGSの像が発表された: http://www.msss.com/mars_images/moc/2003/06/02/
視直径が増加してやや細部が見えてきて、対象毎に観測結果の記述がある。マレ・エリュトゥラエウムの東側と北側が弱くなり、マルガリティフェル・シヌスとの間が空いて見える事、ソリス・ラクス周辺の様子、アルシア・モンス、パウォニス・モンス邊りのタルシスの午後の白雲、 エリュシウム、アエテリアの暗斑、シュルチス・マイヨルの夕靄、ヘッラスとその周辺、南半球の大陸・暗色模様の様子、北極雲の活動など多くの観測対象にわたり、2001年黄雲の影響も含め詳説している。詳細は上の報告を見られたい。
LtEは多くの方々から寄せられ、外国からはLarry ADKINS (Professor of Astronomy at Cerritos College, CA, the
USA), Jeffrey D BEISH (FL, the USA),
Nicolas BIVER (France), Tom DOBBINS (OH, the USA), Mario FRASSATI (Italy), Ed
GRAFTON (TX, the USA), Phil HARRINGTON (Astronomy magazine), Carlos HERNANDEZ
(FL, the USA), David KLASSEN (Rowan University, NJ, the USA), Silvia KOWOLLIK
(Germany), Paolo LAZZAROTTI (Italy), Richard McKIM (the UK), Dave MOORE (AZ,
the USA), Eric NG (呉偉堅, Hon Kong), Ben PACE (Australia), Don PARKER (FL, the USA), Tim PARKER
(JPL/CIT, CA, the USA), K C PAU (鮑國全, Hon Kong), Damian
PEACH (the UK), Christophe PELLIER (France), TAN Wei-Leong (陳韋龍, Singapore), Maurice VALIMBERTI (Australia), Sam WHITBY (VA, the
USA), Johan WARELL (LPL, AZ, the USA),
Ferruccio ZANOTTI (Italy) 、国内からは、阿久津富夫(栃木)、浅田 正(福岡)、日岐敏明(長野)、伊舎堂弘(沖縄)、岩崎 徹(北九州)、熊森照明(大阪)、森田行雄(広島)、岡野邦彦(東京)、長 兼弘(石川)、藪 保男(滋賀) の各氏からのものが取り上げられている。
日岐敏明氏によるTYA#94はCMO#134 (25 June 1993)の内容が綴られている。巻頭は、「ときどきSOMETHING OLD」の6回目で、「ヘッラス、エリュシウム、ニクス・オリュムピカ」と題されて各対象の活動の季節による遷移を、SMITH and SMITHによるデータ(1963~1971迄の青色光写真によるもの)をもとに図を引用して解説している。現在では活動の季節変化の原因などは、その後の観測により解明されつつあるが、季節的な活動の追跡のベースとして、心に留めておくべき事柄が多く解説されており重要である。再読をお勧めする。なお、 SMITH-SMITHの論文はIcarus 16 (1972) 509 に掲載されているものである。
20年前の1993年火星は観測末期となり、Reportでは国内4名、国外2名の報告にとどまっている。この期間には視直径は5.0秒角に落ち、季節はλ=080°Lsから093°Lsまで進んだ。各氏はこの期間に観測終了となり観測数の集計も発表されている。Mn氏と中島(Nj)氏による共同観測では、1200枚のスケッチが得られた。
当時来日中のエリサベト・シーゲルさんと福井のメンバーの交流の様子も記されていた。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn3/273tya94.htm
村上 昌己 (Mk)
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