Ten Years Ago (214)
---- CMO #269 (25 February 2003) pp3535~3558
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http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/cmo269/index.htm
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ず文頭はコラム記事で、五月の連休に計画された「第十一次・CMO惑星観測者懇談会」の案内が掲載された。期間中には「今年の夏は火星!」と題された福井市自然史博物館主催の一般公開講演会もあり、岡野邦彦氏やCMOメンバーの講演プログラムの紹介もされている。
観測レポートは四回目となり、2003年一月後半と二月前半の観測が取り上げられている。この期間に、季節は北半球の盛夏のλ=124°Lsから 138°Lsに進み、視直径はδ=4.9"から5.7"に大きくなった。中央緯度はφ=10°Nから2°Nになり正面を向いてきた。位相角はι=31°から36°と変化した。観測報告者は国内から五名、外国からは二名であった。ヨーロッパからの報告には、シヌス・メリディアニからエリュシウムあたりまでの様子が捉えられている。国内の観測では、朝方のヘッラスあたりから一周りして夕方に見えるところまで、マレ・アキダリウムが南半球の暗部に比べて濃度がないことが指摘されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmohk/2003repo/04/04j.html
2001 Mars CMO Note
(16)は "Great Yellow Cloud with
Water Vapour on 30 June 2001" 「30 June 2001 の水蒸気混じりの黄雲」で、阿久津富雄(Ak)氏が沖縄で写した黄雲発生初期の画像を取り上げて、B光画像に捉えられた水蒸気の様子を解説している。黄雲発生初期には水蒸気が大きく介在している事を示し、阿久津氏の画像では、水蒸気が低空から上空に上がった時の様子をタイミング良く捉えたものと解析している。七月に入ってからは明確に水蒸気の様子は捉えられておらず、既に拡散が始まっていたのではないかとしている。
このノートには、B光画像の重要さがあらためて強調されているほか、この画像が撮影されたタイミングの微妙な事情とが、阿久津氏の沖縄遠征でのCCDカメラのトラブルや、使用させて頂いた湧川哲雄(Wk)氏の40cmニュートン反射の事などと共に記されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmohk/269Note16/indexj.html
"Great 2003 Mars Coming(8)”は熊森照明氏の "Recommendation of the Use
of the Wedge-Prisms " 「ウェッジ・プリズムのすすめ --小角プリズムによる低空時の大気による光の分散補正について--」で、地平高度60°未満では大気分散により色ずれが起きるため解像度が低下する事を述べ、眼鏡検査に使用されるプリズムを使用して分散をキャンセルする方法を示し、前接近でソフィア堺の60cmカセグレンで使用した実例をあげている。問題点としては、視野回転が起きるニュートン反射ではプリズムを設置角度を時間の経過とともに変更しなければならないことや、残存色収差のある屈折望遠鏡ではあまり効果が認められないことなど、使用する環境を見極める必要があることを説明している。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmohk/coming2003/08j.html
"Great 2003 Mars Coming(9)”としては"Ephemeris for the
Observation of the 2003 Mars. III" 「2003年の火星観測暦表 (その3)」で2003Apr~2003Augまでの五ヶ月分が、西田昭徳氏により掲載された
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmohk/coming2003/09j.html
LtEには、外国からは以下の各氏のものが紹介されている。Sam WHITBY (VA, the USA), Mario
FRASSATI (Italy), Don PARKER (FL, the USA), Carlos HERNANDEZ (FL, the USA), Richard McKIM (the UK), Damian PEACH (the UK, at Tenerife), Dave
MOORE (AZ, the USA), David GRAHAM (the UK), Bill SHEEHAN (MN, the USA), Eric NG
(Hong Kong), 賴 武揚 (Taiwan), Konrad DENNERL
(Denmark)
国内からは伊舎堂弘(沖縄)、岩崎徹(北九州)、梅田美由紀(福井市自然史博物館)、森田行雄(広島)、岡野邦彦(東京)、長 兼弘(石川)、 日岐敏明(長野)、熊森照明(大阪)、牧野彌一(富山)の各氏からあり、五月の懇談会と翌年に計画された穴水のコンファレンス関連の便りも多くあった。
「新・歳時記村」は筆者の筆で九作目となり、家の駅の近くで見つけた梅の古木をから「東風ふかば」と題して、菅原道真のことや沖縄の地名に残るこち(東風)・はえ(南風)など古い言葉が残っている例を取り上げている。十年を経た現在では、この梅の木は大きく傾いて遠目には枯れてしまっているように見えたが、近づいてみると残っている若い枝が僅かにあり花芽もふくらんできていた。暖かくなれば白梅が開花することであろう。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/mura_9.htm
20年前のTYA#090はCMO#129(10Feb1993)とCMO#130(25Feb1993)が日岐敏明氏により読み返されている。すでに衝を過ぎていた火星は、この期間末の二月半ばには視直径d=11.6"にまで小さくなってしまった。季節もλ=040°Lsまで進んでいた。傾きfは浅く、縮小していく北極冠は見え難たかった。国内の天候は不順で観測はふるわなかったとあるが、岩崎徹氏・森田行雄氏のプロポンティス付近の観測での活躍が目立ったとしている。CMO#130にはCOMING 1992/93 MARS(5) 「春の北極冠」 "The North Polar Cap in
Spring" があり、諸文献から引用した北極冠の縮小曲線が取り上げられている。ボームらのまとめた縮小の様子にはλ=010°~040°Ls付近で縮小が一時停滞するところがあり、この現象を「ボームのブラトー」と呼ぶこととして、今後の観測にて認められるかというテーマが示されている。
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/269tya90.htm
村上 昌己 (Mk)
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