2009/2010 CMO火星通信』火星觀測ノート (19)

北半球早春の明るいエリュシウム・モンス

CMO #389 (25 September 2011)

 南 政



 

エリュシウム

・モンスがオリュムプス・モンスと同じように季節的に夕方雲を被ることはよく知られていて、原因も成り立ちもSMITH-SMITH以來同じ様であることは自明である。例として2010年の場合も、ドン・パーカー(DPk)の良像

 

10 Dec 2009 (λ=022°Ls) ω=237°W  δ=10.7"

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/091210/DPk10Dec09.jpg

 

に代表されるように、春先に夕雲がエリュシウム・モンスを包んでいることは他にも見られる。Bに特に強く出ているのが特徴的である。

  然し、此処で強調したいのはどうも何時も夕雲に隠れるのでなく、晴れているときもあるのではないか、という推測である。ピーター・エドワー(PEd)氏の

 

4 January 2010 (λ=033°Ls) ω=258°W  δ=13.0"

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/100104/PEd04Jan10.jpg

 

のエリュシウム・モンスは幾らか雲があるかも知れないが、分離が好く、まるでBright Elysiumの様に見える。右圖は上のPEd氏の二枚の畫像のうちの一枚を擴大したものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、ピーター・ゴルチンス(PGc)

 

14 January 2010 (λ=038°Ls) ω=258°W δ=13.7"

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/100114/PGc14Jan10.jpg

 

でもエリュシウム・モンスの切れは好く、頂上のみに懸かっているように見える。ビル・フラナガン(WFl)

 

18 January 2010 (λ=039°Ls) ω=254°W(257°) δ=13.7"

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/100118/WFl18Jan10.jpg

 

では同じ傾向を示すが、可成りぼやけてきている。然し、頂上が見えるようでもある。

 

 少なくともエリュシウム・モンスの場合、夕雲の出方は、季節内であっても増減(無い場合もあるかも知れない)があるようである。(この點については前號のペリエ氏の論議と重なる部分があることを近内令一氏から注意を受けた。英文の部參照)

 

 


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