2009/2010 CMO『火星通信』火星觀測ノート (14)
2010年のオリュムピア
+カスマ・ボレアレ
CMO #386 (
南 政 次 ・ 村上 昌己
北 |
極冠が小さくなると、中心から見て180°Wの方向にオリュムピアが分離して見えるようになる。また来期のようにφが激しくなって、北極冠がすっぽりと見えるようになるとオリュムピアが完全に分離して見えるが、2010年では片鱗が見えただけである。以下に、その像をリストアップしたい。なお、北極冠の部分的な切れ目としてカスマ・ボレアレがあるが、これも080°Wから120°Wに掛けてみられるようになる。今回はピーチ(DPc)氏によって
に片鱗が見え出しているかも知れないし、
11 May (λ=089°Ls) at ω=118°W、122°W
12 May (λ=090°Ls) at ω=110°W、114°W
には捉えられている、次回の参考になろう。
さて、オリュムピアであるが、フラナガン(WFl)氏の
30 Mar (λ=071°Ls) at ω=260°W、φ=14°N
で片鱗が北極冠の東端に見え始めているようである。西端にはダストがあるらしく興味深い映像であるが、δは9.4"で以後今回はこれより小さくなる。モラレス(EMr)氏の
では判然としない。DPc氏は
16 Apr (λ=078°Ls) at ω=345°W~357°W
で北極冠の東端に明白に分離している。ゲルシュトハイマー(RGh)氏の
や、DPc氏の
17 Apr (λ=079°Ls) at ω=341°W~351°W
にも出ている。マクシモヴィッツ(SMk)氏は眼視で同日
17 Apr (λ=079°Ls) at ω=359°W、004°W
で見ている。DPc氏の
には明白であるが、エーベル(PAb)氏の眼視の
はどうであろうか。デルクロワ(MDc)氏の
では明確ではないが、パーカー(DPk)氏の
では雲のように出ている。DPc氏の
では違った角度からのオリュムピアで、西から北極冠に覆い被さるように見えている。
04 May (λ=086°Ls) at ω=180°W、185°W
でも同様である。少し雲状である。次のDPk氏の
では左側に見えている。次いでDPc氏の
11 May (λ=089°Ls) at ω=118°W、122°W
12 May (λ=090°Ls) at ω=110°W、114°W
は先述のもので、これはカスマ・ボレアレと同時にオリュムピアも西側に見えているものである。日本からは森田(Mo)氏の
には東側に出ているように見える。
もハッキリしないが出ていると思われる。南(Mn)のスケッチ
16 May (λ=091°Ls) at ω=294°W
には出ているし、
17 May (λ=092°Ls) at ω=286°W、314°W
でも然りである。メルカ(JMk)氏の
には西側に出ている。DPc氏の
では東側、
03 June (λ=100°Ls) at ω=258°W、261°W
でも同じく明確だが、δは既に5.9"である。ペリエ(CPl)氏の
ではそれとなく分かる程度。DPk氏の
14 June (λ=104°Ls) at ω=244°W、φ=24°N
では北極冠の東南に雲状に見えている。Mo氏の
19 June (λ=107°Ls) at ω=334°Wではほとんど分からないが、対極のヘッラスは明るい。オリュムピアが好く見える頃にはヘッラスは難しいかも知れない。
なお、前に戻ってDPc氏の
02 Apr (λ=072°Ls) at ω=116°W, 123°W
04 Apr (λ=073°Ls) at ω=098°W~119°W
では、北極冠の主体から南に霧が出ているようであり、これがカスマ・ボレアレやオリュムピアの分離の頃に対応するかも知れないので、次期注意されたい。
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