火星は順行を続けて、12月には「てんびん座」に入ります。11月28日に「西方最大離角」となった水星と並んでいるところを、朝方の低空で捉えました。まだ視直径は3.9秒角と小さく、年明けからが観測シーズンとなります。
2020年接近のギャラリーを開設しました。12月末までに寄せられた画像を掲載してあります。右の欄のバナーをクリックすると移動します。画像を撮影された方は是非下記URLまでお送りください。
一月になって、火星は「てんびん座」から「さそり座」へ動いて、夜明け前の南東の低空に昇っている様になっています。17日にはアンタレスの北5°を通過して順行を続けていきます。 視直径は1月中は4秒角台と小さく、冬場のシーイングの不安定なこともあり、詳細を捉えることは難しいですが、既にルーチン観測を始めた画像撮影者も出始めています。
(17 January 2020)
火星は足早に「いて座」を順行中で、三月はじめには視直径は5.5秒角に達しました。 三月には三惑星は接近して明け方の空に明るさを競うことになります。火星は20日には木星を追い抜き、31日には土星の南を通過して、「やぎ座」に入り赤緯を上げて行きます。
(3 March 2020)
六月に入り、火星は「みずがめ座」を順行中で、海王星を12日に追い抜き「うお座」へ向かっています。赤緯は10゚Sを上回り北半球でも明け方の空に、だいぶ高く昇るようになり、視直径も12日には10秒角を越えて火星が見頃になってきました。出も早くなり、午前2時頃には観測が出来るようになっています。 火星の季節は、南半球の春分(λ=180゚Ls)を越えてλ=220゚Lsになり、融解・縮小の進む南極冠の様子に興味をひかれるところです。また、黄雲発生の季節到来となり、中央経度を揃えた、注意深い連続観測での比較が有用です。
(18 June 2020)
九月になると火星は、十月6日の今回の最接近を目指して、9日(GMT)の「留」の後は「うお座」で逆行に移って、図のように逆S字を描きながら接近してくる。 最近の撮影機材と画像処理の進歩は、地上からの撮影で驚くような画像をもたらしていて、これから寄せられる画像を拝見するのに、驚きと期待を持って接することになると思われる。 メーウスの接近表によると、次回視直径が20秒角以上になる接近は、2033年の接近まで待たねばならず、今回の接近の期間を大切に観測をしていただきたい。
(1 September 2020)
この度、SpaceWeatherの10月24日付の記事にあった、朝縁の暗条模様の検出に出会って、寄せられていた画像を確認したところ、10月12日撮影のロバート・ヘフナー氏(大阪府)を始め、幾人かの日本の観測者の撮影した画像に同様の暗条模様が確認された。ヘフナー氏の画像をWinJuposの展開図作成機能で展開した画像をご覧いただく。
展開図に見られるように、アルシア・モンス(121゚W,9゚S)から朝縁に向かって暗条が伸びているのが確認できる。以前に近内令一氏からご紹介のあった、アルシア・モンスから伸びる長大な雲(Arsia Mons Elongated Cloud : AMEC)の影ではないかと推察して、近内氏に確認したところ間違いないとのことで、ここにニュースとして伝える。 他には、10日のなよろ市天文台の渡辺文健氏、13日には福井市自然史博物館天文台の吉澤康暢氏等の画像から検出されていることを付け加える。それぞれギャラリーにアップされている。 なお、CMO#500号の「10月前半の観測レポート」には、より多くの解説を掲載している。
SpaceWeather WebPage:
(28 October 2020)
11月12日に、日本の観測者諸氏からクリュセ付近での黄雲の発生が伝えられた。先に、フラナガン氏から知らせのあった、11月5日 (λ=309°Ls)に、ユゥエンタエ・フォンスに見られたダストの光斑などもあり、予測されていたダスト・イベントの発生である。
2005年には、この後、ソリス・ラクス付近や、東側のシヌス・メリディアニ付近からノアキス東方まで拡がり、全球的な黄雲にはならなかったものの、活発な活動を見せた。今回も今後の活動が注目される。わが国から条件が良く観測が出来る黄雲の発生は、2003年7月以来のことである。 2005年の10月後半と11月前半の黄雲の様子は下記のページに纏められている。 https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/CMO312.pdf https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/CMO313.pdf
(15 November 2020)
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