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花山・飛騨同時一般公開(太陽宇宙デジタルライブ)
概要 近年、天文学の観測装置は、どんどん大型化、海外・宇宙空間進出の 傾向が強くなり、一般の人々が身近な所でそれらの施設や観測現場に触 れて学習できる機会が減りつつあります。そのような中、青少年を始め としたより多くの市民に研究成果の伝達を行なうべき大学の役割は重要 となって来ています。 小中学児童を中心とする多くの人々が、実際に国内の地上天文台での天 体観測を体験したり、検出装置や生データが科学的データへと解析され て行く過程を現場の研究者と共に見聞することにより、天文学・宇宙科 学の実体や具体像を把握し、他の様々な科学分野との関連性を見い出し、 理科学習の意義や理工学の健全な進化の必要性を感じ取るきっかけを提 供できれば、と我々は願っています。 そう言う意図の下、当天文台では今年度も9月28日(土)に、花山・飛騨 天文台同時一般公開(太陽宇宙活動デジタルライブ)を実施致しました。 この事業の主たる内容は、「インターネットで結ばれた2天文台間でデ ジタルデータをライブ交換しながら音声・画像によるリアルタイム対話 を行なう『デジタルライブ』」、「普段プロが用いている望遠鏡による 昼間の太陽観察、夜間の月惑星・星雲星団観察」、「来訪者自ら手を動 かす工作教室やクイズラリー等の参加型企画」、「若手研究者による各 種講演会」などから成ります。
次に、花山天文台と飛騨天文台各々での開催内容をより具体的に紹介致 します。
(上野)
花山天文台での開催内容 デジタルライブの他に、花山天文台では、昼間は、18 cmザートリウス 望遠鏡による太陽全面像と70 cmシーロスタット太陽望遠鏡に よる太陽スペクトルの観望を、夜間は45 cm屈折望遠鏡による月と火星の 観望を予定していました。 また、研究紹介のポスター展示や昔の観測装置を置く天文台歴史館の開館や いくつかのミニ講演会が行われて、参加者からの熱心な質問がありました。 更に、「彗星を作ろう」、「七色のスペクトル分光器を作ろう」 「星座早見・プラネタリウムを作ろう」などの工作教室や、 「クイズラリー」などの参加型のコーナーも設けました。 花山天文台では、これまでで最も多い約500人の小学生からお年よりまで 幅広い年齢層の方々の参加がありました。 あいにくの曇天のため観望はできませんでしたが、 望遠鏡の解説や上記のような様々な催しもので楽しんで頂けたようで、 曇っていたけれど楽しかったという感想を多くいただきました。 催しものの多くは、大学院生と機関研究員(ポスドク)や若手の非常勤職員を 中心にして企画準備されたもので、課題研究・課題演習やポケットゼミなどの 学部学生も積極的に役割を分担してくれました。 学生にとっても、一般市民に自分の研究成果を自分の言葉で紹介する 良い機会になったと思います。
(石井)
飛騨天文台での開催内容 今年度の開催日は、あいにく全国的に天候はいま一つで、当日は実際に天体を観 察できる機会はほとんどありませんでしたが、計95名という大勢の方々に来台し て頂き、主に天候不良時のために事前に用意していたデータや教材を用いる事に よって、スタッフ一同、晴天時に劣らぬ濃密な開催内容の実現に努めました。 日中は、天文台を直接訪れた方々に対して、ドームレス太陽望遠鏡による多波長 での太陽表面の諸相の紹介、分光器による太陽スペクトルの観察デモ、フレア監視 望遠鏡による最近の太陽活動状況の紹介、東洋一の65 cm大屈折望遠鏡においては、 それで撮影された写真の展示、60 cm反射望遠鏡の仕組みやそれによる激変星観測の 解説、などと言った観測設備を用いたセミナーに加え、食堂ホールを利用しての若 手研究者による各種講演会を行ない、その合間を利用して花山天文台の来台者に向 けてのデジタルライブ・対話型セミナーを実施しました。日没前後の時間帯には CDや画用紙を用いた手作り分光器の工作やそれを用いた分光体験コーナー、手作 り彗星体験コーナーなども始まり、少年少女を始めとする大勢の方々に、知的好奇 心を満たす心地良さを体感して頂きました。 また、今年も飛騨地区においては昨年までと同様、上宝村、神岡町、高山市を始 めとする各市町村教育委員会の皆様を中心に、御支援・広報等の御協力を頂き、盛 況の内に催しを終わらせることができました。
(上野)
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