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花山天文台歴史館の開館

1. 歴史館の概要

昭和4年に開館した子午線館は,天文台において,精密時計を補正するなどの 目的のために用いられていました。 しかし,最近はその活躍の場を失い,解体されるという話が出ていました。

しかし,子午線館が大正から昭和の洋式木造建築として,我が国の建築学史上にお いて,貴重な建築物であるとの専門家からの指摘もあり,花山天文台歴史館として 修復保存されることとなりました。

館名 : 花山天文台歴史館
開館年月日 : 平成14年9月28日(平成14年度一般公開)

この歴史館はもともと3部屋に分かれており、現在、西から天文台歴史室、 天体・時計室、太陽スペクトル室として、展示を行っています。

2. 展示物について

2.1 天文台歴史室

・花山天文台の創設の過程

花山天文台創設者、新城新蔵氏(第12代京大総長)による花山選定理由書等

・付属天文台の沿革(創立〜現在)

花山天文台創設から飛騨天文台創設までの写真を展示。

・ハイデ製10cm屈折式赤道儀(ドイツ)

新城新蔵氏により購入された京都大学最初の天体観測用望遠鏡。

2.2 天体・時計室

・ファウス製子午環(アメリカ)

1880年頃の製品である。



・リーフラー製天文時計(ドイツ)

創設当時天文台の標準時計として活躍。この度、花山天文台本館の地下時計室か ら博物館に移動。

・ゼント製マスター時計(イギリス)

本館地下時計室より移動。

・精工製クロノメーター(日本)

・クック望遠鏡レンズ・測微器(イギリス)

花山天文台創設時の主力装置であったクック社製30cm屈折望遠鏡レンズは 1967年にツアイス製45cmレンズに交換されて以来、 1970年(メキシコ)、1973年(モーリタニア)、1976年(オーストラリア)、 1980年(ケニア)、1983年(インドネシア)の皆既日食観測で活躍しました。

2.3 太陽スペクトル室

・グラブパーソン製30cmシーロスタット(イギリス)

クックのレンズと共に日食観測で活躍。

・アスカニア製へリオグラフ(ドイツ)

旧太陽館でグラブパーソンと共に用いられ、その後生駒山太陽観測所で活躍。

3. 歴史館の方針



京都大学の付属天文台における七十余年の歴史において、その発展と沿革に伴い、 観測機器も進化してきました。 その時々の先端的研究を担った歴史ある望遠鏡を保存し、それに関する 調査研究成果を展示していきたいと思っています。 また、一般に公開して、天文台を身近な存在に感じてもらいたいと考えています。



(磯田)



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