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(20) 飛騨・乗鞍協同観測

太陽表面では、さまざまな活動現象が見られます。 例えば、太陽表面での爆発現象であるフレアや、ジェット現象などが それですが、これらの現象については、そのエネルギー蓄積機構や トリガーとなるものについてなど、まだ謎の部分も多いのですが、磁場の エネルギーを解放することによって起こる現象であるということが言われています。 これらの現象についての研究は、さまざまな波長のデータを用いて 行なわれていますが、磁場を観測的に得ることにより、定量的にこれらの 現象の前後における磁場構造の変化など調べることが必要である、と 考えられています。

太陽磁場は、ゼーマン効果に伴う偏光を観測することにより得られます。 偏光を表すストークスプロファイルI、Q、U、Vを観測により得ることから ベクトル磁場(強度・傾斜角・方位角)を求めることができます。 我々は、飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡に取り付けられたベクトル 磁場観測装置(マグネトグラフ)と、国立天文台乗鞍コロナ観測所の ポラリメータを用いて、以下のようなテーマの下、協同観測を行ないました。

(1) 同一の太陽光球面領域を、同一波長で時刻をずらして観測すること により、それぞれのマグネトグラフで得られるよりも高い時間分解能で、 太陽面磁場構造の変化を長期に渡り観測する。(磁場の捻れ度の変化と、 磁気的活動性の変化との相関の調査。)

(2) 異なる高さにおいて形成される吸収線で同一の太陽光球面領域を 同時に観測し、両者の結果を比較することにより、太陽磁場の高さ方向の 構造を明らかにする。

(3) 同一の太陽光球面領域を同一波長で同時観測することにより、飛騨 マグネトグラフと乗鞍コロナ観測所ポラリメータの測定結果の比較・較正を行う。

(4) TRACEなど紫外線によって直接的に観測される、より上空のコロナ中の 磁場形態と、光球・彩層領域における磁場ベクトルとのつながり方の調査。 単純な光球・彩層磁場を用いたポテンシャル計算からの形態との一致 不一致性などを見る。



観測されたデータをストークスプロファイルの段階まで解析した結果の一例を 図1に示します。これらに関して、乗鞍で得られたデータとの比較、そして、 磁場への高精度での変換が今後の課題です。

(清原 淳子 記)


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