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平成13年度の主な改修改良事項(1) 飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡観測装置の整備 ドームレス太陽望遠鏡では、従来、分光器を利用した磁場測定装置が 利用されています。 それに加えて,太陽表面上の2次元的な磁場分布を高い時間・空間分解能で 観測するために,狭帯域フィルターを利用した磁場測定装置の導入計画を 進めています。 今年度は,狭帯域リシウムニオベート固体結晶エタロンフィルター本体を 導入しました。これは、 中心波長6302.5 、透過幅1/8 Å、電圧印加方式による波長スキャン、 口径50mm、恒温セル内蔵という特徴を持つものです。 磁気感応線FeI 6302.5 のプロファイルのコア部、ウイング部の 単色偏光像の取得に用いる予定です。(北井)
(2) 飛騨天文台60cm反射望遠鏡の整備 2.1 飛騨天文台60cm反射望遠鏡の鏡面メッキ 平成13年9月に60cm反射望遠鏡主鏡、及びカセグレン副鏡の鏡面メッキを 飛騨天文台の真空蒸着装置で2年ぶりに行いました。 メッキ後の主鏡据付、副鏡の光軸再調整が入念に行われました。 2.2 測光観測用標準フィルターの導入 これまで60cm反射望遠鏡は、主として惑星や彗星の観測 に使われてきましたが、最近では、激変星や超新星等の測光観測 及び分光観測を行なう為の整備を進めてきています。 13年度には、恒星や銀河の観測において一般的に使用されている Johnson-Kron-Cousinsシステムに準拠したフィルターとして、 すばるの主焦点カメラSuprime Camのフィルターに近い特性を持った の4色の干渉フィルターを購入しました。 また、これまでカセグレン焦点に取り付けていた1K1K 液体窒素冷却CCDカメラを主焦点に取り付けられるようにしました。 これにより焦点距離が大幅に短く()なり、約25角の明るい 広視野を確保できて、観測のフレキシビリティが大幅にアップしました。 2.3 望遠鏡とドームの操作系の整備 望遠鏡の微動用のハンドパドルと、ドームのスリットの 位置を動かすためのハンドパドルを統合した新しい ハンドパドルを製作し、操作性を向上させました。(野上)
(3) 飛騨天文台フレア監視望遠鏡のドーム自動回転装置の改良 太陽フレア監視望遠鏡(FMT)は平成3年度で飛騨天文台に 設置されてい以来順調に動作しています。 望遠鏡本体は、光電ガイダーの働きにより確実に太陽を追尾していますが、 ドーム回転はタイマーを用いて行なっていたため、 運転間隔・モーター動作時間の季節による調整が不完全であった為に、 時には太陽像にけりが生じていました。 そこで、今より簡単でかつ確度の高いドーム自動回転手法の検討をしました。 その方法は光電スイッチを用いてドームスリット端を検出し、ドームによる 陰りが生じる前にドームを自動回転させるというものです。 これにより、季節などによる調整の必要も無くドーム自動回転を行なう事が できるようになりました。(仲谷)
(4) 飛騨天文台計算機環境の整備 これまで飛騨天文台などの遠隔施設を含む京都大学内のネットワークは、全て 大型計算機センター(現在は学術情報メディアセンターに改組されている)の KUINS-IIを通じて外部とのやりとりを行ってきました。 平成14年度よりセキュリティの向上を目的として、 新しく立ち上げられたKUINS-III用の スイッチングハブ及びルーターが飛騨天文台にも配布されましたが、 残念ながら遠隔施設のKUINS-III接続は遅れるということで、しばらくは KUINS-IIの管理の元に止めおかれるということになっています。 また平成13年度は4台の高性能パソコンを新たに購入しました。1台は、共同 利用に供し、同時にFMTのデータのCCDへの焼付の役割を担っていた計算機 が壊れたため、これの代替機としました。1台はDSTの運用の1部を担当して いた計算機の故障のため、これの代替機にあてました。残り2台は、平成13年 度に採用された飛騨天文台の機関研究員2名が主に利用する計算機として運用 を開始しました。 ソフトウェアでは、IDLの需要増に対応して、IDL 5.5 Academic Package (50 Unit)を購入し運用を開始しました。(野上)
(5) 花山天文台ザートリウスH-alpha太陽全面像観測ソフトの整備
花山天文台ではザートリウス製18cm望遠鏡にHalle社のLyotフィルターと
Kodak社のCCDカメラを取り付けて、太陽H-alpha単色像のルーチン観測を
行っています。
これまでは太陽部分像の観測を行なっていましたが、
昨年度に行なった太陽全面撮像光学系の完成により全面像での
観測が可能となりました。
そこで観測用CCDを従来の1,6001,000
ピクセルのものから
Kodak社のメガプラス4.2i (2,0002,000
)へと変更し、それに
あわせて全面像観測用CCD制御ソフトウエァを開発しました。
開発は飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡CCD撮像観測ソフトを基にして
Visucal C++で行ないました。
通常の観測用として、一定時間に一枚最もシーイングの
良かった画像を全面像として保存するモードを、フレア観測用として、
領域を限定して時間分解能を最高にして撮像するモードとを設計しました。
全面像観測となったことにより、定常観測からフレアモードへの移行が
これまでより迅速になり、ザートリウス太陽望遠鏡による太陽フレア観測が
より効率良く行われるようになりました。
(石井)
(6) 花山天文台45cm望遠鏡観測用新リフトの導入
新リフト(屋内式高所作業車)について 納入日 : 平成13年9月25日 メーカー : 株式会社タダノ 型式 : AP-42-1 積載荷重 : 200kg
地上最大高さ : 5m
45cmドームには既存の高所作業車がありましたが大きくて 機動性に欠けること、又かなり古くなった為、 新たに高所作業車を導入しました。 新作業車は、取扱いが容易で小さく機動性に富んでいる為 45cm望遠鏡がより扱いやすくなりました。 また、望遠鏡のメンテナンスや清掃も容易に行うことが 出来るようになりました。
(磯田)
(7) 花山天文台45cm望遠鏡駆動系の改良
45cm屈折望遠鏡の観測焦点は床上約5mの望遠鏡先端近くにあり、 赤経・赤緯のクランプ及び微動操作は全てその位置のみから 行なうようになっていたので、星を一人で望遠鏡の視野に 導入するのは容易ではありませんでした。 この操作性を改善する為に、赤緯クランプ及び微動を モーター駆動とし、又、赤経クランプの手動シャフトを 延長して、星の導入操作を望遠鏡筒下から行なえる様に 改修しました。(黒河)
(8) 花山天文台の計算機ネットワークの整備
平成13年度には以下の整備を行いました。
(殿岡)
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