1991年7月11日の皆既日食におけるコロナ 1991年7月11日、皆既時間約7分という大変に条件の良い日食が、 ハワイからメキシコにかけて見られました。京都大学理学部でも、メキシコ のラパス市へ観測隊を派遣し、貴重な観測データを得ることができました。 この画像は、コロナをいろいろな波長で撮ったもので、以下のように コロナの異なる温度成分を見ていると解釈されています。 画面上をクリックするとより高分解能のグレースケールのイメージが見ることができます。
- FeXIV(左上・緑)
- 波長530.3nm。 鉄の13回電離イオンが出す輝線で、 そのあたりの温度が約200万度であることを示す。 緑色の波長域にあるので、green line とも呼ばれる。
- FeX(右上・赤)
- 波長637.4nm。同じく鉄の9回電離イオンが出す輝線で、 温度約100万度に対応している。red line とも呼ばれる。
- Continuum(左下・青)
- 輝線ではなく、もっと広い波長域で撮ったもので、いろいろ な温度成分の総合を見ている。肉眼で見るコロナに最も近い。
- Hα(右下・青)
- 波長656.3nm。水素原子の出す輝線(バルマー線)。 温度は約1万度。いわゆるプロミネンスが見える。
3色合成画像
温度によって、構造がずいぶん異なって見えるのがよくわかりますよね。