運用中の観測装置
KOOLS-IFU
光ファイバーを110本束ねた面分光機能が備わっている可視光低中分散分光器です。 星雲や銀河などの広がった天体のことなる110ヶ所でのスペクトルを一度の露出で取得することができます。 銀河、超新星、恒星フレアなど、さまざまな天体観測に利用されています。 面分光の集光力によって重力波源天体の素性が明らかになると期待されています。
観測モード | 面分光 | |
視野(ファイバーピッチ) | 8.4x8.0arcsec (0.84arcsec) | |
波長域(波長分解能) 4つのうち1つを選択 |
VPH-blue | 410-890nm(~500) |
VPH-red | 580-1020nm(~800) | |
VPH495 | 430-590nm(~1500) | |
VPH683 | 580-800nm(~2000) | |
限界等級(条件) | 点源:17.9等 (VPH-blue, 600秒露光, 10σ) | |
広がった天体:19等/arcsec2 (VPH-blue, 600秒露光, 10σ) |
TriCCS
可視光3バンドの同時撮像分光装置です。検出器にはCMOSセンサーが使用されており、最速で1秒間に98フレームのデータ取得が可能で、絶対時刻もGPSで取得できます。通常の撮像・分光観測にももちろん使用できますが、望遠鏡口径の大きさを活かして、時間軸天文学の開拓に寄与します。
観測モード | 撮像 | |
視野(ピクセルスケール) | 12.6x7.5arcmin (0.350arcsec/pix) | |
波長域 3バンド同時観測 |
g | 410-510nm |
r | 550-680nm | |
i/z | 740-800nm/820-920nm | |
フレームレート | 最速で98フレーム/秒 | |
限界等級(条件) | 点源:22.0等 (rバンド, 600秒露光, 10σ) | |
広がった天体:23.8等/arcsec2 (rバンド, 600秒露光, 10σ) |
観測モード | スリット分光 |
視野(ピクセルスケール) | 幅 1.0arcsec、長 10-11arcmin (0.350arcsec/pix) |
波長域(波長分解能) | 400-1050nm (~700) |
限界等級(条件) | 点源:18等 (600秒露光, 10σ) |
GAOES-RV
波長500nm台の可視光を観測するエシェル高分散分光器です。 光ファイバーとイメージスライサーを用いて高い効率を保ちつつ極めて高い波長分解能(約65000)を実現しました。 さらに精密空調で安定化した分光器とヨウ素ガスを封入したI2セルを用いることで、人の歩く速度(毎秒1m程度)を見分けるレベルの視線速度測定精度を達成しています。 より遠い星の周りや、より軽い惑星など、太陽系外惑星の発見の領域を広げることを目指して開発されました。 また、惑星大気化学組成解析、恒星活動の解析、突発天体の追跡など他の幅広い分野でも威力を発揮することが期待される装置です。
観測モード | 分光 |
視野(ファイバー直径) | φ2.2arcsec |
波長域(波長分解能) | 516-593nm (~65,000) |
限界等級(条件) | 13.5等(1800秒露光, 5σ) |
視線速度決定精度 | 2-3m/s (目標1m/s以下) |
開発中の観測装置
SEICA
太陽系外惑星の直接撮像観測をおこなう装置です。 非常に明るい恒星の極めて近くに存在する暗い惑星を撮像するために、恒星光を除去するコロナグラフと、 その性能を低下させる地球大気の影響を低減させる補償光学装置から構成されています。 地球からおよそ10pc以内にある、近くの恒星がターゲットになります。 SEICAを用いる事で恒星から0.2arcsec(地球から10pcの恒星なら2AUの距離)以遠に存在する木星のようなガス惑星が検出可能になると見込まれています。 東アジア最大級の口径を誇るせいめい望遠鏡の集光能力、解像能力を最大限発揮させるための装置です。
観測モード | 撮像 |
視野 | φ4arcsec (補償光学が有効な範囲) |
波長域 | 1100–1600nm |
限界等級(条件) | 6等(ターゲットの恒星の可視等級) |
コントラスト比 | ~10-5(恒星から0.2arcsec以遠) |
NirPol
波長1600nmまでの近赤外線での直線偏光観測を行う装置です。TriCCSと直列に搭載され、同時観測が可能です。 偏光プリズムを用いて入射光を2偏光成分に分割し、それらの画像を同時に取得することで誤差を最小限に抑え、高精度の偏光観測を行います。 原始惑星系円盤の散乱偏光や、星間物質による偏光の観測などを意図しています。 世界的にも珍しい、近赤外線での2偏光成分同時撮像による高い精度の達成が期待される装置です。
視野(ピクセルスケール) | 2.9x2.9arcmin (0.13arcsec/pix) | |
波長域 ※2バンド同時観測 |
J | 1170-1330nm |
Hshort | 1490-1600nm | |
限界等級(条件) | 18.7等(Jバンド, 600秒露光, 100σ) | |
17.9等(Hshortバンド, 600秒露光, 100σ) |
IRS
近赤外線で、参照天体との2天体同時測光分光を行うための装置です。 基準となる参照天体のスペクトルを同時に面分光で取得することで、 大気透過率が不安定な日本の空の環境下でも長期に渡るスペクトルモニタ観測が可能となります。 遠方クェーサーなどの活動銀河核のスペクトルモニタから、遠方と近傍での活動銀河核の内部構造の違いを明らかにすることを目標としています。 内部の光学系に世界初の技術を用いている、技術的にもチャレンジングな観測装置です。
観測モード | 面分光 |
視野 | 5x8arcsec の菱形視野を2か所 |
波長域 (波長分解能) | 870-2200nm (~4000) |
限界等級(条件) | 18等(Jバンド, 1800秒露光, 10σ) |
観測装置の持込み
観測装置の持ち込みについては、次のメールアドレスにお問い合わせください。
inst (at) kusastro.kyoto-u.ac.jp