M101に出現した超新星SN 2023ixf

M101に出現した超新星SN 2023ixf

 2024年2月16日にTriCCSで撮られた、おおぐま座の渦巻き銀河M101です。 左に延びる腕の部分に、2023年5月19日(世界時)にアマチュア天文家の板垣公一さんによって発見された 超新星SN 2023ixfが写っています。超新星とは恒星が突然明るく輝きだす現象で、恒星進化の最終段階における大爆発です。 超新星にも様々な種類がありますが、SN 2023ixfは発見から約5時間後、カナリア諸島にあるラパルマ天文台の分光観測により、 大質量星の重力崩壊による爆発であるII型超新星と同定されました。 SN 2023ixf(M101)は地球からの距離が約2100万光年と近傍であるため、発見後は世界中の研究者や アマチュア天文家によって追観測が行われました。

 画像左、上から順番に 2023年1月から2024年1月までのM101の画像の一部分を並べています。 最上段の2023年1月の画像では、超新星が爆発する前であるため見えていません。 発見日の次の日には超新星がはっきり見えていて、ここから数日ほどかけて超新星が明るくなっています(画像2,3枚目)。 一部の超新星は、超新星のごく近傍にのみ濃いガスが漂っており、 超新星爆発で膨張する物質と、濃いガスとの衝突によって明るく輝くと考えられています。 そのため、超新星の明るさや色を調べることで爆発した星の周囲に漂うガスの性質を知ることができ、 そこから星が爆発する前の進化の様子を推定することが可能となります。 SN 2023ixfの場合、紫外域から近赤外域までの広い波長域に亘る観測によって爆発から数日で 30,000Kを超えるほどの高温となったことが判り、TriCCSの画像を見ても青白く輝いて見えます。

 SN 2023ixfはその後3か月ほど一定の明るさを保った後急減光する時期を迎え、 温度は約5,000Kほどに下がり(太陽の表面温度程度)、黄色に近い色へと変化しています。 明るさが一定の期間の長さは、爆発前の星が持っていた水素の質量に起因すると考えられており、 継続観測によってどのような星が超新星爆発を起こしたのか知ることができます。

 右側の画像
 2024年2月16日 25時47分(JST)
 観測装置:TriCCS
 露光時間:g, r, i各バンド 300秒
 写野:23.6x20.2arcmin
  (横2x縦3の写野をマッピング)
 Ⓒ 京都大学岡山天文台/ 東京大学
 高解像度版(5340x3460pix, 17.2MB)