10 Years
Ago (83) (Japanese
only)
- CMO #119 ( 25 July 1992 ) -
1992年七月には、火星は「おひつじ座」にあり、午前3時前からの連続観測が可能となり、視直径は6秒弱に達した。季節は269゚Ls→288゚Lsへ進み、南半球の夏至を越えた。南(Mn)氏、中島(Nj)氏の数枚のスケッチが主であるが、日岐(Hk)も観測に参加した。主要な模様の把握と南極冠の存在の確認にとどまる。海外からは、K RHEA、G TEICHERT兩氏からの報告がある。
今号には1990 OAA Mars Section Note (7)として、「345〜350゚Lsのマレ・キムメリウム」についての考察がある。1990年十二月上旬を中心とした観測である。この時期、Syrtis MjやM Cimmerium等の暗色模様全体が枯れて見えていたが、この原因はへーズの停滞にあり、眼視では中島(Nj)氏、伊舎堂弘(Id)氏、岩崎徹(Iw)氏が把握している。また、阿久津富夫(Ak)氏、宮崎勲(My)氏のB光において、へーズは明瞭である。
「夜毎餘言」では、「GALILEO GALILEIは地球中心主義者」というタイトルでガリレオに関する考察が述べられている。一見驚愕のタイトルではある。ガリレオに対する評価は、望遠鏡による数々の発見以上に、慣性や落下などを理論化したことが大きいとする。しかしガリレオは慣性の法則を明文化しながらも「この法則は水平面上でしか見いだされない」と記している。このような事例から、南(Mn)氏は物理的な惑星間という描像すら不可能であったのではないかとしている。ここでタイトルの意味がよく解るのである。
「あかり・とり」では、日頃スケッチ観測の際に利用する照明具の工夫を足羽山と臺北での例で紹介している。連載の「日本語講座」は第七回目、LtEにはBAA土星課長のAlan
HEATH氏からの便りがあり、氏がグリニッヂのOld
Royal Observatoryを訪れた際の写真(1692年製の煉瓦壁)が掲載されている。
今号の結びには、福井市自然史博物館が新装開館し、21日の竣工紀念式典にNj氏が出席されたことが報告されている。
日岐 敏明 (Hk)
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