10 Years Ago (94) (Japanese)
- CMO #134 (25 June 1993)-

 CMO134は、1993年六月25日に発行された。観測報告は、五月16日から六月15日迄のものである。この間視直径は5.7秒角から5.0秒角に落ち、季節はλ=080°Lsから093°Ls迄推移した。この年、西日本は六 3日に梅雨入り。観測も終焉に近づく中で、国内4名、国外2名の報告(追加報告を除く)があった。北極冠は伊舎堂弘(Id)氏、岩崎徹(Iw)氏、南政次(Mn)氏、および中島孝(Nj)氏等の観測で明瞭に捉えられている。ヘッラスは南中時から夕端にかけて明るく、ウトピア、ギュンデスの濃い様子が観測されている。このシーズンの観測を終える方々が多く、Id氏は16MayIw氏は25MayNj氏は9Juneが最終観測となった。Mn氏とNj氏による共同観測は、1200枚のスケッチをのこした。

 巻頭は、「ときどきSOMETHING OLD」の6回目。ヘッラス、エリュシウム、ニクス・オリュムピカのactivityに関して、SMITH and SMITHによるデータ(1963~1971迄の青色光写真によるもの)をもとに述べている。此の三領域は、共にλ=060°Lsから180°Lsくらいまで活動(第一のピーク)しており、一見同じパターンで季節変化している様にみえるが、ヘッラスは南半球にあるから季節的には逆になるはずであり、内実はヘッラスだけ異なる。例えば、第一のピークにおいても、ヘッラスは日変化が無いのに対して、ニクス・オリュムピカとエリュシウムは日変化がある。北半球ではこの時期水蒸気が豊富でエリュシウムなどが明るくなるのは、山岳形の雲であろうが、ヘッラスはドライアイスの霜が恒常的に降りているのであろうと考えられる。このように、地形的にも気象的にも異なっている。これらの領域のactivityの問題については、時としてS and Sの平均的様相からずれること(森田現象等)もあり、今後さらに精査する必要があるとしている。また、同じように、アルカディア、テムペ、タルシス ~ カンドル等についても調査が必要と述べている。

 LtEでは、Iw氏、ヨハン・ヴァレル(JWr)氏、エリザベト・シーゲル(ESg)氏らが便りを寄せている。Mn氏によれば六月29日はESg氏等と武生市の国際音楽祭に行き、30日は東尋坊見学をなされたようである。ESg氏一行は翌七月1日に武生を離れた。

-------日岐敏明(Hk)

 

Back to CMO #273 Home Page / Back to the CMO HP / Back to Façade