From Reiko TAKANARI
●・・・・・・こちらこそ有難うございました。南先生のような方の前でお話しするのは、中味のなさを見透かされそうで、実は冷や汗をかきながらだったのですけれど、先生からご質問いただいて、逆に気づかされることが多く、とても勉強になりました。佐藤先生の興味深いお話も伺えたし、お声をかけてくださったことにあらためて感謝しております。
ローエルの応挙評や北斎の見方をお教えくださって有難うございました。私にとってこれはとても貴重な情報です。
ところで稲賀書にある「ある保守主義者」ですが、これはハーンの数少ない親友、雨森信成をモデルとして書かれたものです。ハーンの『心』は雨森に捧げられており、その冒頭に献辞「詩人、学者、そして愛国者でわが友、雨森信成」があります。彼は福井藩士の息子で、藩校明新館でグリフィスの弟子となりました。稲賀氏が取り上げているのは、日本へ帰ってくる主人公の疲れきった心を慰め、高揚させてくれた朝焼けの富士を船上から仰ぎ見るシーンです。
There
were some foreigners already on deck, eager to obtain the first and fairest
view of Fuji from the Pacific;--for the first sight of Fuji at dawn is not to
be forgotten in this life or the next.
・・・ --and they could not see
Fuji. "Ah!" laughed an officer they questioned, "you are looking
too low! higher up, --much higher!" Then they looked up, up, up, into the
heart of the sky, and saw the mighty summit pinkening
like a wondrous phantom lotus-bud in the flush of the coming day: a spectacle
that smote them dumb.
確かにここには富岳三十六景のあの富士の投影があるのだとおもいます。私は精神性の高さを求める言葉として この一節が大好きです。"you are looking too
low! higher up, --much higher!"この部分を読むと人間関係のいやなことがどこかへ吹き飛んでいくようなきがするので。雨森とグリフィスの関係は山下英一さんが詳しいです。
目下、といいますか当分富山八雲会総会準備等などに忙殺されています。
(10五2003
email)
高成 玲子
(Reiko TAKANARI 富山 Toyama)
rtknr52@ruby.ocn.ne.jp