視直径が25秒角を越えるとき
西田 昭徳 (Akinori NISHITA)
★今年の大接近が特別なものであることはメーウス氏の計算(Astronomical Table of the Sun, Moon and Planets, 2nd Ed (Willmann-Bell, Inc.) 1995、最近ではMore Mathematical Astronomy
Morsels, 1st Ed. 2002)) やビーシュさんの横浜でのお話以来、話題にされるが、端的に言えば、視直径δが25秒角に達する火星には滅多にお目に掛かれないということであって、七十九年前の1924年の大接近を経験したことのない火星観測家は、例えば半世紀の火星通を誇る南(Mn)さんや中島(Nj)さんにして未経験なことである。
★1924年以降の火星大接近は
27 July 1939 δmax=24.13"
07 Sept 1956 δmax=24.76"
12 Aug 1971 δmax=24.91
22 Sept 1988 δmax=23.81"
であったから、最高でδ=24.9"であったわけである。1988年の場合しか知らない筆者などは24秒角の火星すら知らないわけである。なお、1939年はMn氏、Nj氏、ドン・パーカー(DPk)氏の生まれた年であり、この年の火星を知っている観測者は更に年長ということになる(例えば、村山定男氏など)。
★では、今年δが25秒角に達するのはいつか、という問題だが、Almanacのデータで処理したところ22Augの7hGMT前後というところである。1971年の24.91"を基準にすると、21Augの0hGMTにはδ=24.93"であるから、この頃になる。一方25"が終わるのは、1Septの15hGMT頃ということになる。なお、ビーシュ氏のWimpによるとこの期間はもう少し長く、21Augに入り、2Sept内に終わることになる。
★最接近前後(八月、九月)のδの変移は次のようになっている:
Almanac Wimp
01 Aug 22.36" 22.3"
05
23.04 23.0
09
23.66 23.6
13
24.20 24.2
17
24.63 24.6
21
24.93 24.9
25
25.10 25.1
29
25.11 25.1
02 Sept 24.98 25.0
06
24.69
24.7
10
24.28 24.3
14
23.75 23.7
18
23.12 23.1
22
22.42
22.4
26 21.67 21.7
30 20.89 20.9
1988年基準のδ=23.8"になるのは10Augである。
★なお、上の比較は純粋に視直径によっているだけで、季節はそれぞれかなりの違いがある。
★最後に、次の2005年の最接近(30Oct)では最大δは20.17"にしかならない。グラフで比較すると図のようである。横軸は季節である。
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