1996/97 Mars Sketch (6)
from CMO #204
(25 June 1998)


-- 補 遺 (T) --


English here


 

1996/97 Mars Sketchは進行中だが、未だ幾らも行かない内に不備が目立つので、補足も兼ねて補遺を挟むことにした。今後も同じ事になると思うので(T)とする。

 

(1) 比嘉保信氏の20Apr1997(107°Ls)の朝雲

Fig 1: Y HIGA's image again on 20 Apr (107°Ls) at ω=210°W showing a doubled cloud from Elysium

#197p2179Sketch(1)において、沖縄の比嘉保信(Hg)氏の20Apr1997(107°Ls)のおけるエリュシウムから朝方に掛けての蝶々型の明雲の觀測を採りあげたが、その際、引用の写真が不鮮明であったので、先ずその補足をしたい。といっても写真原稿やコピー機の具合で實際にやってみないと分からないので、何とも言えないのであるが、#201 p2246においてHg氏の別の写真が割と効果的に出たので同じ方式を採る。實は、#197の段階でもHg氏にFDを送って頂いたり、印刷原稿を頂いたり、かなりご面倒をお掛けしたのであるが、最終的にスキャナーの像を採用して失敗したのである。今回採用のものはHg氏のプリントによるもので、ω=210°W20Apr1997 11:55GMT)に撮られている(Fig1)B光のもので、バーストが以前よりは鮮明に出るものと期待している。解説は#197のものをもう一度參照願いたい。(CMO-Internetではカラーで示したので、問題なかったと思うが、今回は青色光からの黒白像を加える。)

 

(2) 赤道帯霧の例

#200p2232Sketch(2)では赤道帯霧(ebm)を採りあげた。その際、スケッチの例としては日岐敏明(Hk)氏の20Feb1997(081°Ls)ω=046°Wの例を挙げたが、ここでは他のスケッチを二枚補足する。

Fig 2: E SIEGEL's EBC on 6 Apr (101°Ls) at ω=101°W
Fig 3: H ISHADOH's observation on 24 May (123°Ls) at ω=275°W

一枚はデンマークのシーゲル(ESg)さんの6Apr1997 (101°Ls)ω=101°Wのスケッチで(Fig2)、これは彼女が意識的に初めてebmを捉えた例である。マレ・アキダリウムが夕端に沈み、マレオティス・ラクスが黒々と中央に見えている。IntW80Aで明白なようだが、お得意のW47でも捉えている。
もう一枚は、伊舎堂弘(Id)氏の觀測で24May1997 (123°Ls)ω=275°Wでのスケッチである(Fig3)。朝方に濃く、午後の方に棚引いているのが捉えられている。視直徑δ9.6秒角、位相角ι37°であった。從って午後のエリュシウムは可成り端に寄っているが時刻は未だ午後1時過ぎた邊りである。

 

(3) ヘルナンデス氏のタルシスの觀測

#201p2243Sketch(3)でタルシスやオリュムプス・モンスの様子を採りあげたが、筆者に未だ報告していない些か奇妙な觀測があるので拾っておく。20Mar(093°Ls)ω=175°Wの時のもので、オリュムプス・モンスに先立って端の雲の中に黒點が見えたのである(Fig4)。これはシーイングの好いときにもっと時間的に細かく追跡しなければ兎や角言えないので、次回に狙っていただきたい。Fig5はヘルナンデス(CHr)氏の4Mar(086°Ls)ω=156°Wのスケッチで、角度で20°若いが、縁の暗影が興味深いところである。

Fig 4: A stain inside the evening Tharsis cloud on 20 Mar (093°Ls) at ω=175°W by M MINAMI
Fig 5: C HERNANDEZ's drawing in Red on 4 Mar (086°Ls) at ω=156°W

 

(4) オリュムピアの觀測

北極冠の様子については#202p2259Sketch(4)で扱ったが、その際、オリュムピアの觀測について20MarにおけるNj氏の觀測とMnのそれ(ω=183°W)に触れたが、その際Id氏の觀測を記載しなかった。これはId氏のスケッチを採用する際、別綴りにして仕舞い、却って原稿作成の際洩れたのである。そこで、Id氏の20Mar 1997 (093°Ls)ω=185°Wのオリュムピアのスケッチをここに掲げる(Fig6)31cm反射使用。Nj氏、Mnのものも似たようなもので、この日は全國的に觀測の機會があったものと思われる。尚、Fig4は同じ日のもので、やや時間的に前のものである。
次に、暫く後のヴァージニアのホヰットビィ(SWb)氏の8Apr1997(102°Ls)ω=161°Wのスケッチを掲げる(Fig7)W21()フィルター使用である。15cm反射使用。

Fig 6: Olympia by ISHADOH on 20 Mar (093°Ls) at ω=185°W
Fig 7: Olympia by S WHITBY on 8 Apr (101°Ls) at ω=161°W by use of a 15 cm speculum


最後に、再びId氏の31May(126°Ls)ω=206°Wでのスケッチも引用す(Fig8)。北極冠の大きさに異同があるが、Mayの方が北極冠は明白でリマ・ボレアリスが明確であった可能性もある。

何れにしても三月から五月に掛けての夏至を挟んでオリュムピアは長く明確であった事が分かる。尚、これらはp2260fig3HST像に対應している。

Fig 8: Olympia by ISHADOH on 31 May
(126°Ls) at ω=206°W when δ=9.1"

 

(5) 森田行雄氏のヘッラス

前號#203ではヘッラスの動向を扱ったが Sketch(5) CMOの紙面では森田行雄(Mo)氏の16Apr(105°Ls)ω=285°Wの像と一巡り後の22May(122°Ls)ω=293°Wのヘッラス像を採り上げて並べる(CMO-Internetでは割愛する)。それぞれ左像は赤色、右像は緑色像である。スケッチでは分からないが、一巡りで像が如何に劣化するかがよく分かる。Mo氏の畫像はそれほど處理されていないが、赤色像では好く模様が出ている。

 (Mn/南政次)


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