10 Years Ago (86)

10 Years Ago (86) (Japanese)
- CMO #122 ( 25 October 1992 ) -


 1992年九月中に、火星は「おうし座」から「ふたご座」へ移動した。本号では、九月16日から十月15日迄の観測を扱っているが、この間、視直径は7.5秒から8.9秒角に伸び、模様は見易くなった。季節は325゚Lsから341゚Ls迄推移し、南半球の黄雲の季節として最終段階。φ は4゚Nから10゚Nに傾いた。

 国内からの観測報告は、伊舎堂弘(Id)氏、岩崎徹(Iw)氏、南政次(Mn)氏、村上昌己(Mk)氏、中島孝(Nj)氏、森田行雄(Mo)氏および日岐(Hk)による。国外では、R・チェルレタ氏、M・ジェリナス氏、K・レア氏、G・タイシャート氏からの報告がある。
 北極雲と連動しての北半球朝方の明るさが目立っている。この様相はMo氏の16Octω=200°WのTP写真に明瞭に出ている。また、1 Oct までの観測では、ソリス・ラクス周辺に大きな攪乱は認められなかったものの、3OctにId氏がガンゲスとアウロラエ・シヌスの間に黄雲状の細い筋が出ていることを観測。この時ガンゲスは濃化し、「いきなり見たこともない暗斑が出現し戸惑う」と記録されている。この日、国内でのガンゲス周辺の観測はなく、沖縄でも翌日翌々日は天候不順で、6 Oct の観測では、最早筋状黄雲はなかった。334°Lsで 起きたこの現象は、1990年11月期の黄雲と同質なものと判断され、Id氏のスケッチも掲載されている。
 今号第一面は「OAA火星面同時観測の呼びかけ」である。特別な日を設定し、オールナイトで四十分毎に追跡する共同観測の計画である。第一回目は21, 22, 23 Nov (GMT)で000°Lsあたり、φ も最高の13°Nとなることから、北極雲の観察を重点としている。第二回目は、2, 3, 4 Jan (GMT)で再接近前後の火星面に挑戦するものである。尚、視直径は14.9秒角。観測レポートは、一般レポートよりも早く報告するようにとのお願いがある。
 来信(LtE)では、宮崎勲(My)氏、Iw氏、Id氏、Mk氏、Mo氏およびHkからの便りが紹介されている。Id氏は前述の黄雲について述べ、比嘉保信(Hg)氏の前日のビデオでは異常は捉えられなかったと報告している。編集室便りでは、様変わりした福井市自然史博物館の観測準備室の事等が書かれている

日岐敏明(Hk)

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