この期間、火星の南半球は可成り汚れた様相を見せていた。南極地には覆い 状のヘーズが存在しており、ソリス・ラクスが東、マレ・シレヌムが西とい う構図において、明るく境界が明瞭なヘーズが観測されている。ニリアクス・ ラクスは北極雲に侵される形で見えていた。但し詳細は分からない。八月末に はヘッラスが姿を現した。夕端では極地と連動し白く明るい姿を見せていた。 但し、中央部のヘッラスはId氏の観測では「全体dullで、寧ろ地肌が見える か」とコメントしている。また、朝方は、Mk氏やHkが「朝縁で白いが、次第に 鈍くなる」と観測。尚、Id氏は、九月の観測で北極雲が南側と北側で二重に なっていると観測している。
今号では、「1990 OAA Mars Section NOTE(8)」として295゚- 360゚Lsにおけ
る南極地の大気的状況が考察されている。Lsを区切って、折々の状況について
述べた後、Mn氏は次のように纏めている。
1.既に300゚Ls以前に於いて南半球の大気は汚れている。
2.(汚れが)夕方で肉眼で明瞭であるのは、水蒸気が関係していると思われる。
3.汚れは局在的であり、局所的に大気的様相が持続している。
最後に、「最近の接近に見られるように徐々に埃が放出されて大気に定常性が 保たれる場合は、(黄雲のような)カタストロフィは起こり難いのであろう」と 推測している。
来信(LtE)では、長谷川一郎氏、Hg氏、Iw氏、Mk氏、Id氏およびHk等からの 便りが紹介されている。Hg氏はカラーによるビデオ撮像の開始、Mk氏は15p反 射(苗村鏡)を使用して継続観測を開始したことがわかる。