◆#221 (25 July 1999)に述べたように、161゚Ls邊りから北極冠が北極雲に隠れ始めたのであるが、マレ・アキダリウムが朝方にあるときは、朝雲がやや低緯度に現れる爲に、北極冠が見えているという状態が續いた。同號p2568にはこれに關して、白雲塊についての觀測も述べてある。
◆當時は梅雨明け前後で、六月下旬の觀測は多くはないのだが、マレ・アキダリウムが夕方に現れてきた29 June (162゚Ls)に既に伊舎堂弘(Id)氏は北極冠とは別に朝雲を聨續して捉えている。
29 June (162゚Ls) δ=11.6"、ι=39゚、φ=23゚N
Id-108D 11:00 GMT ω=066゚W Id-109D 11:40 GMT ω=075゚W Id-110D 12:20 GMT ω=085゚W Id-111D 13:00 GMT ω=095゚W但し、マレ・アキダリウムは時間と共に沈むのに對し、朝雲の圓盤内に入る速度は遅い様である。正中までは追っていないが、Id-111Dでも朝雲の中心はΩ=110゚W以西である。
◆30 June (163゚Ls)には同じくId氏やMk氏、Iw氏の觀測があるが、似た朝雲は觀察されていない。しかし、Mk氏のω=051゚W(10:40GMT)、ω=078゚Wの觀測では、北極雲域が大きく明るく、またId氏はω=088゚W(13:10GMT)などで北極冠が不明瞭、北極雲が淡く大きく擴がっているとの觀察がある。
◆この日はMGSが北極冠近邊に黄塵を見附けた日(06:52〜12:10GMT)である(#222 p2585參照)。
◆1 July (163゚Ls)には主なものとして次のような觀測がある:
1 July (163゚Ls) δ=11.5"、ι=39゚、φ=23゚N
Mn-712D 10:10 GMT ω=034゚W Nj-427D 10:30 GMT ω=039゚W Mk-181D 10:50 GMT ω=044゚W Mn-713D 10:50 GMT ω=044゚W Mn-714D 11:30 GMT ω=054゚W Id-114D 12:00 GMT ω=061゚W Mk-182D 12:10 GMT ω=064゚W Mn-715D 12:10 GMT ω=064゚W Id-115D 12:40 GMT ω=071゚W Mn-716D 12:50 GMT ω=073゚W Mn-717D 13:30 GMT ω=083゚Wこの日マレ・アキダリウムが正中している頃は、北極域は大きく暈けており、北極冠は不明であった(Mn)。Id氏も邊りを大きく描いている。多分黄雲の名残があったかも知れないが、然程強くない。寧ろ、白色系(Mk氏やId氏は青白いとする)であった。Mn-716D邊りでは北極冠が見えて來た。
◆2 July (164゚Ls)にはId氏の以下の觀測しかないが、マレ・アキダリウムの北は二つ玉になっており、北極冠の南に「淡い雲が楕圓形に」擴がっている。
2 July (164゚Ls) δ=11.4"、ι=40゚、φ=23゚N
Id-116D 11:10 GMT ω=040゚W
◆3 Julyは全國的に天候が好く無かったようで觀測がない。
◆4 July (165゚Ls)には比嘉保信(Hg)氏のVideo觀測が加わり、様子が聨續して紀録されている。
4 July(165゚Ls) δ=11.2"、ι=40゚、φ=22゚N
Mk-183D 10:40 GMT ω=013゚W Hg-1-47V 11:12 GMT ω=021゚W Id-117D 11:10 GMT ω=021゚W Hg-2-47V 11:50 GMT ω=031゚W Id-118D 12:00 GMT ω=033゚W Hg-3-47V 13:38 GMT ω=042゚W Hg-4-47V 13:14 GMT ω=051゚W Hg-5-47V 13:53 GMT ω=061゚Wマレ・アキダリウムの北に黄色みを帯びた白雲の存在が明瞭である。1 Julyに比べてバク發している。掲載のId氏のスケッチを參照されたい。
Hg氏の像では、マレ・アキダリウム北の黄白雲は時間と共に圓盤の内部に入ってくるのが明瞭。既にω=021゚Wで明らかで、ω=042゚Wまで可成りの濃さ。この時はテムペにも朝霧があって目立つ。ω=051゚W以降は朝雲は更に中に入ってくる。これは、これが單なる水蒸氣雲でなく、黄塵を含んでいる爲であろう。
重要なのは青色光による像が、明白にこの雲塊を示していることで、これが單純に黄雲でないことの証左である。或いは黄雲の概念を擴げなければならい事を意味するかも知れない。
◆5 July (166゚Ls)にはId氏とIw氏の觀測がある。Iw氏の觀測は比較は出來ないが、北極域はトンでいる。Id氏の場合は、4 Julyと同じように楕圓形の雲塊がマレ・アキダリウムの北に存在している。Id-120Dは前日のId-118Dと同じωであって、比較が出來る。
5 July (166゚Ls) δ=11.1"、ι=40゚、φ=22゚N
Iw-103D 11:30 GMT ω=016゚W Id-119D 11:40 GMT ω=019゚W Iw-104D 12:10 GMT ω=026゚W Id-120D 12:40 GMT ω=033゚W
◆6 July (166゚Ls)には筆者(Mn)が聨續觀測を行ったが、マレ・アキダリウムの北の雲塊の強さについてはId氏とIw氏の觀測の中間という感じであった。この日、黄白雲はそれ程顕著ではなかったと考える(Mn-723Dがω=033゚WでId氏と比較が出來るが、最早低くシーイングが悪くなっている):
6 July (166゚Ls) δ=11.1"、ι=41゚、φ=22゚N
Mn-718D 10:00 GMT ω=345゚W Mn-719D 10:40 GMT ω=354゚W Mn-720D 11:20 GMT ω=004゚W Mn-721D 12:00 GMT ω=004゚W Mn-722D 12:40 GMT ω=024゚W Iw-105D 12:50 GMT ω=026゚W Mn-723D 13:20 GMT ω=033゚W Iw-106D 13:30 GMT ω=036゚W Mn-724D 14:00 GMT ω=043゚W◆7 July (166゚Ls)にもマレ・アキダリウムの北の雲塊は顕著ではなかったと考えられる。觀測は次のようである:
7 July (166゚Ls) δ=11.0"、ι=41゚、φ=22゚N
Mn-725D 10:00 GMT ω=335゚W Mk-184D 10:40 GMT ω=345゚W Mn-726D 10:40 GMT ω=345゚W Ak-1-77C 11:16 GMT ω=353゚W Mk-185D 11:40 GMT ω=000゚W Mk-186D 12:20 GMT ω=009゚W Ak-2-77C 12:23 GMT ω=010゚W Mn-727D 12:30 GMT ω=012゚W Mn-728D 13:10 GMT ω=021゚W Mn-729D 13:50 GMT ω=031゚WAk氏のCCD像では當該朝方は霧?に覆われているように見える。Mn-726Dでは北極冠は白く、周りはoff-whiteである。Mn-728Dでは北極冠とその南に小さな雲塊があって二つ玉。然し、然程顕著ではない。
◆ 8 July (167゚Ls)には状況が一變して、既にω=333゚W(Mn-731D)からマレ・アキダリウムが濃い朝方の雲塊に覆われているのが瞥見された。白色系である。ω=002゚W(Mn-734D)では圓盤の中に入っている。中心はΩ=040゚W邊りで、Id氏の4、5 Julyの觀測と同程度か、それよりも顕著であったと思う。
8 July (167゚Ls) δ=10.9"、ι=41゚、φ=22゚N
Mn-730D 09:50 GMT ω=323゚W Mn-731D 10:30 GMT ω=333゚W Mk-187D 10:40 GMT ω=335゚W Mn-732D 11:10 GMT ω=343゚W Mk-188D 11:20 GMT ω=345゚W Iw-107D 11:30 GMT ω=348゚W Mn-733D 11:50 GMT ω=352゚W Mk-189D 12:20 GMT ω=000゚W Mn-348D 12:30 GMT ω=002゚W Mn-735D 13:10 GMT ω=012゚W Mn-736D 14:10 GMT ω=024゚W
◆ 9 July(168゚Ls)は福井ではシーイングが悪化したのであるが、ω=316゚W(Mn-737D)から、マレ・アキダリウムに掛かる朝霧は觀測されている。ω=336゚W(Mn-739D)では好く見えている。
9 July (168゚Ls) δ=10.8"、ι=41゚、φ=22゚N
Mn-737D 10:00 GMT ω=316゚W Nj-428D 10:20 GMT ω=321゚W Mk-190D 10:40 GMT ω=326゚W Mn-738D 10:40 GMT ω=326゚W Ak-1-97C 10:48 GMT ω=328゚W Nj-429D 11:00 GMT ω=331゚W Mk-191D 11:20 GMT ω=336゚W Mn-739D 11:20 GMT ω=336゚W Nj-430D 11:40 GMT ω=341゚W Ak-2-97C 12:58 GMT ω=345゚W Mn-740D 13:20 GMT ω=010゚W Nj-431D 13:40 GMT ω=015゚W Mn-741D 14:00 GMT ω=020゚W福井は一時曇っている。14hでω=020゚Wであるから、最早追跡は不可能になっている。然し、10 Julyでもまだ朝霧は出ている様であった。
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