編 集 後 記
2012年火星の今期の最接近は三月はじめのことであった。二月後半からの曇天傾向は最接近となった三月上旬も続いて、日本では全国的に天候は良くなかったようであり、予報をしたオリュムプス・モンスの衝効果の確認は皆さんうまくできなかったようである。しかし、二月・三月の報告画像は外国からの参加も増えて多数にのぼり、処理に嬉しい悲鳴を上げている。午後の山岳雲の活動、赤道帯の朝靄・夕靄の振る舞いなどこの季節に起きる興味深い現象が多く捉えられている。
日本のこの冬は、例年とはかなり異なって寒気の南下がたびたび起こり、日本海側の曇天続きと低温は観測日数の少なさとシーイングの悪さをもたらし、福井の御大たちは凍った足羽山の坂道の足下の悪さに難儀をしていたという。福島の近内令一氏も風雪で観測日数は伸びなかった。太平洋側でも天気は悪く寒さは梅の開花も遅らせていたが、二月末には咲きそろって、待ちかねたメジロを呼び寄せている。気温はまだ低目だが陽の光は明るく裏庭のフキノトウも開きはじめて早春の風情となった。(写真は三月7日)
夕空には東の空に火星が輝き、西には金星と木星が明るさを競ってにぎやかで、夜半前には土星が追いかけて上がってくる。惑星観測者には忙しい季節になっている。
三月25日
OAA火星課長 村上 昌己
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